石人山古墳(せきじんざんこふん)(読み)せきじんざんこふん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

石人山古墳(せきじんざんこふん)
せきじんざんこふん

福岡県八女(やめ)郡広川町一条から筑後(ちくご)市にかかる前方後円墳。全長110メートル、後円部径78メートル、前方部幅26メートルで前方部は西向きである。後円部には江戸時代から開口している横口式家形石棺と、これを囲む割石(わりいし)積みの石室がある。棺蓋(かんがい)には直弧文(ちょっこもん)や円文の浮彫りがあり、九州装飾古墳としても最古の位置を占めている。また前方部から後円部石室に至るくびれ部に等身大の甲冑(かっちゅう)をつけた円彫り石人一体が立てられている。九州の古墳における石人としても古式の位置を占めている。石棺、石人とも加工しやすい阿蘇(あそ)系泥溶岩を使用している。墳丘からは人物、家、動物などの象形埴輪(はにわ)や石製品が発見されている。しかし石棺内の発掘は古いために副葬品などについてはまったく所伝がない。この古墳を『筑後(ちくご)国風土記』逸文にみえる筑紫国造磐井(つくしのくにのみやつこいわい)の墓とする説が江戸時代以来あったが、現在では否定されている。九州の後期古墳研究上重要な遺跡である。国指定史跡。

[小田富士雄]

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