石神井城(読み)しゃくじいじょう

日本の城がわかる事典 「石神井城」の解説

しゃくじいじょう【石神井城】

東京都練馬区にあった平山城(ひらやまじろ)。東京都指定文化財。この一帯の大きな勢力であった豊嶋氏の後期の居城。築城年代は明らかではないが、鎌倉時代後期に豊嶋氏が居館の一つとして建設したのではないかと考えられている。1416年(応永23)、前関東管領の上杉禅秀が鎌倉公方の足利持氏に蜂起して上杉禅秀の乱が起こったが、豊嶋氏はこの乱で足利持氏を支持したことで最盛期を迎えた。しかし、その後、扇谷上杉氏重臣の太田氏と対立を深め、長尾景春の乱(1476~80年)では、豊嶋氏は1477年(文明9)に、景春の鉢形城(埼玉県大里郡寄居町)での蜂起に呼応して挙兵した。この戦いで、当主の豊嶋泰経は本城の石神井城に、弟の泰明支城の平塚城(北区)に拠って太田道灌と戦ったが、江古田・沼袋原の戦いで惨敗して泰明は戦死。泰経は石神井城に退去し、さらに平塚城を経て相模小机城(横浜市港北区)へと落ち延びた。石神井城は1477年(文明9)、道灌の攻撃により落城し、その後廃城となった。翌年には小机城も落城して、豊嶋氏は拠点を失い没落した。城跡は現在、石神井公園や市街地になっている。同公園内や周辺の市街地には空堀土塁一部が残っている。また、同公園内の三宝寺池には、同城落城時、泰経が黄金の鞍とともに身を投げ、娘の照姫も後を追って入水したという伝説が残っている。西武新宿線上石神井駅、または西武池袋線石神井公園駅から徒歩約15分。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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