デジタル大辞泉
「石筆」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
せき‐ひつ【石筆】
〘名〙
① 黒色または赤色の粘土をかわかして固め、筆の穂の形に削り、管にはさんで書画を書くに用いたもの。携帯に便利。石墨を心(しん)とした今の鉛筆にあたる。
※俳諧・天満千句(1676)三「石筆や他山のおぼへ時の花〈如見〉 はじめて此峯存立春〈利方〉」
② 墨つぼに筆を入れる筒のついたもの。帯に差し込んで持ち歩く。矢立(やたて)。
③
蝋石などを
棒状に造り、石盤に文字・
図画などを書くのに用いるもの。
※彼日氏教授論(1876)〈ファン=カステール訳〉二「
習字は先ず石筆を以て石盤上に習はしむ」
[語誌](①について) (1)「和漢三才図会‐一五」に「石筆‐其石紫黒色、削成如
二筆形
一、嵌
二管軸
一、而不
レ用
レ墨書
レ字。最易
レ滅唯備
二忽志
一耳。広博物志所
レ謂盧山有
二石墨
一可
レ書者此類矣」とあるが、今日の鉛筆とは異なる。
(2)
近世中期から「石筆」はオランダ舶来の筆記具をも指すようになった。それは、
西洋の鉛筆あるいはその初期のものであったと思われる。近世の
文献では「石筆」に「セキヒツ」「イシフデ」「
ポットロード」の三通りの読み方が確認されるが、「増訂華英通語」(
一八六〇)では「鉛筆
(ポットロード)」と
ルビが付されており、「鉛筆」と「石筆」の
関連性がうかがわれる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の石筆の言及
【鉛筆】より
…その形状は細長い棒状の黒鉛(メキシコ産)を木鞘にさしこんだ,全長114mmのものである。次いで渡来したのは幕末で,当時は石筆と呼ばれた。石筆はオランダ語potloot(陶工の鉛の意)の訳語で,もとはスペイン産黒鉛の商品名Potlothであった。…
※「石筆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」