硫酸水銀(読み)リュウサンスイギン

化学辞典 第2版 「硫酸水銀」の解説

硫酸水銀
リュウサンスイギン
mercury sulfate

硫酸水銀(Ⅰ):Hg2SO4(497.24).水銀を熱硫酸に溶かして蒸発濃縮するか,硝酸水銀(Ⅰ)の酸性水溶液に硫酸を加えるか,水銀を陽極として希硫酸を電解すると得られる.白色の単斜晶系針状晶.密度7.57 g cm-3.水に難溶.加水分解して緑色のHg2O・Hg2SO4・H2Oの粉末を生じる.希硝酸に溶ける.電池,照合電極酸化触媒に用いられる.有毒.[CAS 7783-36-0]【】硫酸水銀(Ⅱ):HgSO4(296.65).水銀に過剰濃硫酸を加えて加熱溶解したのち,蒸発濃縮するか,酸化水銀(Ⅱ)に過剰の硫酸を加えて溶かし,蒸発濃縮すると得られる.白色の粉末.融点850 ℃.密度6.47 g cm-3.潮解性で,水に易溶.多量の水で加水分解して黄色のHgSO4・2HgO,赤色の3HgO・2SO3・2H2Oなどの塩基性塩を生じる.一水和物は斜方晶系.医薬,電池に用いられる.有毒.[CAS 7783-35-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸水銀」の意味・わかりやすい解説

硫酸水銀
りゅうさんすいぎん
mercury sulfate

水銀の硫酸塩で、一価および二価水銀の化合物が知られている。

(1)硫酸水銀(Ⅰ) 化学式Hg2S04、式量497.6。無色ないし淡黄色の単斜晶系結晶。硝酸水銀(Ⅰ)水溶液に希硫酸を加えて得られる。加熱すると分解する。水では徐々に加水分解する。電池に用いられる。

(2)硫酸水銀(Ⅱ) 化学式HgSO4、式量296.6。無色の斜方晶系結晶。酸化水銀(Ⅱ)HgOを硫酸に溶かすか、または水銀を過剰の濃硫酸と熱して溶かすと得ることができる。潮解性。熱すると黄褐色から赤色となり、さらに熱すると二酸化硫黄(いおう)、酸素、水銀に分解する。水によく溶ける。エタノールエチルアルコール)、アセトンに不溶。多量の水で加水分解して、黄色、難溶性塩の塩基性塩を生ずる。アセチレンからアルデヒドを製造する際の触媒として用いられたことがある。暗所に密栓して蓄える。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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