硬化(読み)こうか

精選版 日本国語大辞典 「硬化」の意味・読み・例文・類語

こう‐か カウクヮ【硬化】

〘名〙
(イ) 一般に、物がかたくなること。柔らかい物がかたい物質に変わること。また、固まって動かなくなること。⇔軟化。〔稿本化学語彙(1900)〕
(ロ) 石灰セメントなどが水を加えることにより固化すること。⇔軟化
(ハ) 医学で、繊維性の組織が弾力性を失いかたくなること。
※死(1964)〈北杜夫〉「脳動脈の硬化からくる老年性痴呆への進行が」
(ニ) 金属が加工、熱処理などにより硬度を高めること。⇔軟化
(ホ) プラスチックが固化すること。⇔軟化
② 考え方、組織などが一つの方向に凝り固まり、融通性・柔軟性を失うこと。⇔軟化
※阿部次郎氏の人格主義を難ず(1922)〈竹内仁〉五「例へば善に就ての氏の概念は既にあまりに硬化してゐはしないかどうか」
③ おだやかな弱い意見態度が、一変して強硬になること。また、雰囲気などが、緊迫すること。緊張のためかたくなること。⇔軟化
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「ジーンと硬化し始めた室内の空気に」
取引相場で、買人気になって騰貴に向かうこと。⇔軟化。〔取引所用語字彙(1917)〕

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デジタル大辞泉 「硬化」の意味・読み・例文・類語

こう‐か〔カウクワ〕【硬化】

[名](スル)
物がかたくなること。「動脈硬化」「硬化セメント」⇔軟化
意見・態度などが強硬になること。「組合の態度が硬化する」⇔軟化
取引で、相場が上がり気味になること。⇔軟化
[類語]堅いこわ硬質堅硬生硬硬直硬度剛性ごつい厳ついかちかちがちがちかちんかちんこちこちハード

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化学辞典 第2版 「硬化」の解説

硬化
コウカ
cure, curing, setting

広義には,熱硬化性樹脂が熱,光,触媒,放射線などの作用によって架橋することをいう.狭義には,熱硬化性樹脂がまだ溶融性を有している初期のステージから,完全に三次元構造をもった不融性のステージになることをいう.熱硬化性樹脂が硬化を開始してから所定の硬化に達するまでの時間をキュア時間(curing time)という.熱硬化性樹脂だけでなく,一般にはプラスチック成形材料,ゴムコンパウンドを同様の操作で橋かけさせ,性質を安定化することをキュアとよぶこともある.成形温度が高すぎた場合,あるいは成形時間が長すぎた場合,熱分解などで性質の劣化が起こることをオーバーキュア(overcure)とよび,適正な硬化に至る前に中止することをアンダーキュア(undercure)とよぶ.硬化にはそのほかにhardeningの意味もあり,これは熱可塑性樹脂の軟化した成形品が冷却して固化すること,およびポルトランドセメントの水和結合形成による固化などをさす.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

岩石学辞典 「硬化」の解説

硬化

熱の作用,鉱染した溶液,または普通の堆積作用で圧縮され間隙水の移動,などによって,原因の如何にかかわらず固くなった岩石に用いる.

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