磯焼け(読み)イソヤケ

デジタル大辞泉 「磯焼け」の意味・読み・例文・類語

いそ‐やけ【×磯焼け】

[名](スル)海の沿岸に生えるコンブカジメなどの海草類が枯れる現象海水温の上昇や海水の汚染ウニなどの食害原因とされる。

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改訂新版 世界大百科事典 「磯焼け」の意味・わかりやすい解説

磯焼け (いそやけ)

主として外海の沿岸の磯で,よく繁茂していた大型海藻類が枯死消失してしまい,無節・有節の石灰藻類が繁茂して一面に白くなってしまう現象をいう。この原因として大出水などによる海水の塩分の急激な低下,逆に塩分の高い沖合の水の接岸などが挙げられていたが,原因不明の場合も少なくなかった。いずれにしても一度この現象が起きると回復には10年単位の長期を要した。

 最近の研究によれば,この原因としてウニ,アワビなど藻食性動物の過剰摂餌が示唆されている。北海道および東北地方沿岸にはコンブ類群落と石灰藻群落という二つの特徴的な植物群落が見られるが,アワビ,ウニ類の駆除,あるいはこれらが侵入できないようにしての海中造林実験では,石灰藻群落が過剰な摂餌圧力の結果であることをめいりょうに示した。したがって,藻食性動物の摂餌活動が磯焼けの起こる原因のすべてであるかどうかにはまだ問題が残るが,磯焼けが起きた後の回復を妨げる原因とはいえよう。
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百科事典マイペディア 「磯焼け」の意味・わかりやすい解説

磯焼け【いそやけ】

磯の水質激変によって,そこに生えている海藻が生理機能を失った結果枯れてしまい,海底岩礁が広く露出して焼け野原のようになる現象で,海の砂漠化ともいわれる。水質激変の原因には,内陸部の豪雨による出水で一気に真水が流れ込んで海水の塩分が低下する場合と,逆に旱魃(かんばつ)によって塩分濃度の高い外洋の海水が沿岸に押し寄せる場合などが考えられる。このほか,川の護岸工事や人工漁礁に使われるコンクリートから溶出するアルカリが原因との説もあり,アワビやムラサキウニが海藻を餌とすることから,これらの食害が原因のひとつともされている。水産資源の保護や栽培漁業に大きな影響を及ぼすため,マリノフォーラム21は,磯焼けを防ぐために海藻が根付きやすい海藻礁の開発や,ムラサキウニの除去などに乗り出している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磯焼け」の意味・わかりやすい解説

磯焼け
いそやけ

沿岸の磯の藻類がなんらかの原因で枯れてしまい、岩面が石灰藻類などに覆われ、黄褐色または白色化した状態をいい、磯枯れともよばれる。この原因には、河川水の異常流入による塩分の低下や、海流異変による環境変化、石灰藻類の異常繁殖などが考えられているが、不明な点が多い。一度磯焼けがおこると数年から十数年間もとの状態に戻らないことが多く、コンブ、ワカメテングサなどの有用藻類やアワビ、サザエ、イセエビ、磯魚など磯を生活の場とする魚貝類がとれなくなり、漁業の被害は大きい。

[小橋二夫]

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海の事典 「磯焼け」の解説

磯焼け

 磯に生えている海藻が、かなりの範囲で枯死する現象をいう。大出水などのために海水の塩分が急激に低下したとき、あるいは逆に沖合いの高塩分水が急激に 沿岸に侵入してきた場合等に起こる。他に、人為的な土砂の流失や生物学的な理由による磯焼けもある。 (永田)

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