社債権者集会(読み)しゃさいけんしゃしゅうかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社債権者集会」の意味・わかりやすい解説

社債権者集会
しゃさいけんしゃしゅうかい

社債権者(→社債)の意思決定機関。会社法上のものであるが株主総会のように常設の機関ではない。社債の種類ごとに組織され(会社法715),法定事項および社債権者の利害に関する事項を決議する(716条)。決議事項としては,社債管理者の辞任(711条),解任(713条),会社による利息支払いの怠慢(739条)などのほか,担保付社債のみに関する事項として,担保や担保順位の変更(担保附社債信託法41,42)などがある。社債権者集会の招集権者は,社債発行会社および社債管理者(担保付社債の場合は委託会社および受託会社)であるが,社債総額の 10分の1以上を保有する少数社債権者に対しても招集権が与えられている(会社法717条2項,718条3項,担保附社債信託法31)。招集手続きについては株主総会の規定に準ずる(会社法719~722)。社債権者は有する種類の社債の金額の合計額に応じて議決権をもつ(723条1項)が,社債発行会社の有する社債については認められない(723条2項)。決議は原則として出席した議決権者(議決権を行使することができる社債権者)の議決権の総額の過半数賛成により行なわれる(724条1項)。代理人による議決権行使のほか,書面による議決権行使が認められている(725,726条)。決議は裁判所認可を受けなければ効力が生じない(734条1項)。決議の効力は当該種類の社債を有するすべての社債権者を拘束する(734条2項)。決議の執行は原則として社債管理者または代表社債権者があたる(737条1項)。

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改訂新版 世界大百科事典 「社債権者集会」の意味・わかりやすい解説

社債権者集会 (しゃさいけんしゃしゅうかい)

社債権者の利害に重大な関係のある事項につき,社債権者の総意を決定する総社債権者から成る合議体。起債会社の外にある合議体であり,株主総会のような会社の機関ではない。社債はその期間が通常長期であるから,償還時までに不測事態を生じることがあり,その場合に元利金の支払確保のための手段を講ずる必要があるために,法律上認められている(商法319条以下,担保付社債信託法58条以下)。招集は定期的ではなく,必要があるごとになされる。決議は多数決普通決議・特別決議)により行われ,裁判所の認可を要する(商法324条,327条1項)。社債権者集会は開催が困難なので,社債総額の1000分の1以上を有する社債権者の中から代表者を選任して,決議事項の決定をこれに委ねることができる(商法329条)。社債権者の保護は,社債権者集会による自治的管理のほか,社債管理会社による管理に期待されるところが大きい。
社債
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「社債権者集会」の意味・わかりやすい解説

社債権者集会
しゃさいけんじゃしゅうかい

同一種類の社債権者の利害に重大な関係がある事項につき、社債権者の総意を決定するために、総社債権者によって構成される臨時的な合議体。社債権者は、社債元利金の確実な支払いに関し共通の利害関係を有しており、共同の利益のために権利確保の行動をとることが、社債権者にとって有利であるばかりでなく、社債発行会社にとってもこの団体を相手にすれば足りるので、社債権者集会が法的制度として認められた。

[戸田修三]

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