祝島(読み)いわいしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「祝島」の意味・わかりやすい解説

祝島
いわいしま

山口県南東部、周防灘(すおうなだ)に浮かぶ島。面積7.69平方キロメートル。熊毛(くまげ)郡上関(かみのせき)町に属す。柳井(やない)港から1日2便の定期船がある。安山岩からなる高台状地形をなし、最高点は357メートル。『万葉集』巻15に2首詠まれている「伊波比島」で、周防沿岸からよくみえる。藩政時代から鯨組(くじらぐみ)や酒造り杜氏(とうじ)として多くの出稼ぎ者を出した。半農半漁村で、階段耕地が発達し、ビワ園やミカン園が多い。周辺は漁場に恵まれ、タイスズキの一本釣りや延縄(はえなわ)漁業が盛ん。宮戸八幡宮(みやとはちまんぐう)の神舞(かんまい)は勇壮な海の神事や古式36種の神楽舞(かぐらまい)を伝え、県指定無形民俗文化財。またケグワの巨樹は県指定天然記念物。人口516(2009)。

三浦 肇]

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改訂新版 世界大百科事典 「祝島」の意味・わかりやすい解説

祝島 (いわいしま)

山口県南東部,熊毛郡上関(かみのせき)町に属する周防灘の離島。面積7.7km2,人口775(1995)。《万葉集》に詠まれている〈伊波比島〉で,古代から瀬戸内海航路上よく知られていた。北東岸に集落があり,ミカン園の多い階段耕地が発達した半農半漁村。島の周辺はタイ,スズキ,イワシの好漁場で,一本釣漁業者が多い。柳井港と室津からの船便がある。800年の伝統をもつ宮戸八幡宮の神舞(かんまい)神事は雄壮な海の祭典で,県の無形文化財
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祝島」の意味・わかりやすい解説

祝島
いわいしま

山口県南東部,周防灘にある島。最高所標高 357m。上関町に属する。長島の西方にある複輝石安山岩の台地の島で,急傾斜の階段耕作地に水稲とミカンを栽培し,放牧も行う。宮戸八幡宮の神舞 (かんまい) は有名。柳井港から定期船の便がある。面積 7.67km2。人口 644 (2000) 。

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百科事典マイペディア 「祝島」の意味・わかりやすい解説

祝島【いわいじま】

山口県南部,上関(かみのせき)町に属する島。面積7.68km2。《万葉集》に伊波比島とみえ,周防の歌名所であった。安山岩からなり台状を呈する。山腹に段々畑や棚田が発達,ミカン栽培,牧牛が行われ,沿岸ではタイ,イワシを漁獲。冬季,杜氏(とうじ)の出稼(でかせぎ)者が多い。

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デジタル大辞泉プラス 「祝島」の解説

祝島

山口県熊毛郡上関町、瀬戸内海の熊毛群島に属する島。上関港の南西約16キロメートルに位置し、面積は約7.69平方キロメートル。万葉集には「伊波比島」の名で詠まれている。ビワやミカンを産し、一本釣りやハエナワ漁業が行われる半農半漁の島。宮戸八幡宮で4年に1度奉納される神舞(かんまい)神事は県指定無形民俗文化財。江戸時代後期から始まったとされる練り塀の町並みには趣がある。

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