秋落ち(読み)アキオチ(英語表記)autumn decline
akiochi

デジタル大辞泉 「秋落ち」の意味・読み・例文・類語

あき‐おち【秋落ち】

秋になって、予想より米の収穫が少ないこと。
豊作のため、秋になって米相場の下がること。秋下げ。秋落ち相場。⇔秋上げ

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改訂新版 世界大百科事典 「秋落ち」の意味・わかりやすい解説

秋落ち (あきおち)
autumn decline
akiochi

水稲生育前期においては順調で良好であるにもかかわらず,後期(成熟期)に不良となって下葉の枯れ上がりが多くなり,茎葉に胡麻葉枯病の斑点が生じ,はげしいときは根腐れを起こし,水稲の収量は初めの生育状態から想像されるよりもはるかに少なくなる現象をさす。秋落ちの大部分鉄欠乏老朽化水田,排水不良の湿田に生じ,硫化水素などの還元性物質がイネの根の生育および機能を阻害することなどによって起こる。このような秋落ち水田は,1961年調査によると日本の全水田の約24%,69万haに達していたが,老朽化水田では客土,含鉄資材の投入などの土壌改良や無硫酸根肥料の施用により,湿田では排水工事により,今日ではその多くが解決された。
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百科事典マイペディア 「秋落ち」の意味・わかりやすい解説

秋落ち【あきおち】

初期には順調に生育していたイネが出穂期ごろから生育が衰え,収量が減少する現象。原因はさまざまであるが,老朽化水田や排水不良の湿田で起こりやすい。客土深耕,適切な排水工事,またイネの根に有害な硫化水素を除くための鉄分補給硫酸イオンを含まない肥料の使用,早期栽培などの対策によって,この現象は改善される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秋落ち」の意味・わかりやすい解説

秋落ち
あきおち

イネが穂の出る頃から急に生育状態が悪くなって,実入りが少なくなることをいう。地方によっては「うらこけ」ともいう。生育後期 (おもに生殖生長期) の一種の栄養障害に病害 (ごま葉枯病,いもち病など) などが二次的に関係したものである。その被害は水稲作の2割に及ぶといわれる。また,老朽化水田,強湿田,泥炭地や有機物過多田などに秋落ち現象を起こすことが多い。一般に土壌の微量要素の欠乏や,粘土質の不良などの原因が考えられる。

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世界大百科事典(旧版)内の秋落ちの言及

【老朽化水田】より

…その結果,老朽化水田に生育する水稲は,前期には生育が健全のようにみえるが,後期の生育はしだいに不良となり,葉にごま葉枯病の斑点が生じ,だんだん下葉から枯れ上がり,収量が著しく少なくなる。これを秋落ちという。老朽化水田の作土では,鉄以外に,マンガン,カルシウム,マグネシウム,ケイ酸,リン酸なども溶脱されて乏しく,また砂質で粘土含量が少ないため,肥料養分の保持力が弱い。…

※「秋落ち」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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