デジタル大辞泉
「秘府略」の意味・読み・例文・類語
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ひふりゃく【秘府略】
類書。淳和
天皇の
勅命により、
滋野貞主(しげののさだぬし)らが天長八年(
八三一)に献上したもの。
千巻。日本最古の
大部な類書。巻八六四(百穀部中)、巻八六八(
布帛部)の二巻が
残存。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
秘府略 (ひふりゃく)
日本古代の東洋的な百科事典。多くの典籍(漢籍)から関連する記文を抽出し,部類を立て,書名を示して引載してある。831年(天長8)滋野貞主らが勅を奉じて編集した。《太平御覧》のもとになった類書を中心とし,《芸文類聚》《初学記》《翰苑》など先行の同種の書物を集成したものらしい。もと1000巻より成ったが,いま2巻(巻八百六十四〈百穀部〉,巻八百六十八〈布帛部〉)のみ伝存する。《太平御覧》に先立ち,内容的にはそれを凌駕する,日本人が編集した類書として注目される。《続群書類従》所収。
執筆者:飯田 瑞穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
秘府略
ひふりゃく
平安初期の類書。1000巻。滋野貞主(しげののさだぬし)撰(せん)。831年(天長8)成立。淳和(じゅんな)天皇の勅により貞主が諸儒とともに古今の文書を集め、品目によって文献の該当する句や節を列挙したもの。空前の大著で当時中国でも例をみない。巻864「百穀部」中と巻868「布帛(ふはく)部」3の2巻が現存する。引用された文献の数から推して全貌(ぜんぼう)の壮大さが推量され、当時の渡来書目および逸文を知るうえで貴重な資料であり、当時の学問的水準が知られる。『続群書類従』雑部所収。
[大曽根章介]
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秘府略
ひふりゃく
平安時代前期に編集された一種の百科事典。滋野貞主 (しげのさだぬし) 編。 1000巻。天長8 (831) 年勅命によって,中国の書籍 1500種の記事を分類し,項目ごとに編纂したもの。現在は平安時代中期の写本2巻が伝わるだけである。
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秘府略
ひふりゃく
平安初期の百科事典
831年成立。1000巻。現存2巻。滋野 (しげの) 貞主の著。1500種以上の漢籍を事物別に分類したもの。
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世界大百科事典(旧版)内の秘府略の言及
【百科事典】より
…そして,勅撰漢詩集があいついで編纂された9世紀の前半には,日本でも類書の編纂が行われた。淳和天皇の勅を受けた滋野貞主(しげののさだぬし)が広く中国の典籍を渉猟してまとめた《[秘府略](ひふりやく)》1000巻がそれであるが,現存するのは2巻のみで全容はわからない。平安時代も中期に入ると,中国への関心とともに日本を対象化してとらえようとする動きがみられるようになる。…
【類書】より
… こうした類書は日本にもいち早く将来されて,日本の学術文化に与えた影響は大きい。例えば亮阿闍梨兼意の《宝要抄》《香要抄》《薬種抄》《穀類抄》は,《修文殿御覧》から,栄西の《喫茶養生記》は《太平御覧》から孫引きすることによって編まれたのであり,《秘府略》も今日では逸書となった《文思博要》を藍本としていると考えられる。さらにいえば,《太平御覧》は,藤原道長が日課として読んだ書であったし,平清盛は《太平御覧》を独占的に輸入して,これを皇族や高僧に寄贈することによって影響力を強めたといわれる。…
※「秘府略」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」