秩父牧(読み)ちちぶのまき

日本歴史地名大系 「秩父牧」の解説

秩父牧
ちちぶのまき

かつての秩父郡から児玉郡の一部にまたがる広大な地域に所在していたと推定される牧。「政事要略」には「西宮記、延喜三年八月十三日、貢進秩父御馬、依宇多院供馬、不召上卿、御覧之後給左右馬寮已了」とあり、延喜三年(九〇三)八月一三日に秩父御馬が朝廷に貢進されたという。次いで「西宮記」には「延喜五八十四、於仁寿殿覧秩父御馬、帰御、以黄襷一領給牧司利春」とあり、同五年八月一四日に牧司の高向利春が貢進した秩父御馬の駒牽が行われている。承平三年(九三三)四月二日の太政官符(政事要略)によれば、秩父牧は勅旨牧とされ、貢馬二〇疋の入京期限は毎年八月一三日と定められている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「秩父牧」の意味・わかりやすい解説

秩父牧【ちちぶのまき】

武蔵国秩父郡から児玉郡の一部にかけて設置された牧。埼玉県秩父郡北部を中心に児玉郡神泉(かみいずみ)村(現・神川町)にわたる地域にあたる。903年貢馬の記録が初見。皇室料馬を供給する勅旨牧で,秩父郡石田牧と児玉郡阿久原(あぐはら)牧が含まれ,年貢馬は20疋,貢馬日は8月13日であった。951年には父馬2疋が下賜されている。
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