竈門神社(読み)かまどじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「竈門神社」の意味・読み・例文・類語

かまど‐じんじゃ【竈門神社】

福岡県太宰府市内山、宝満山の山頂にある神社。旧官幣小社。玉依姫(たまよりひめのみこと)を主神とし、神功皇后応神天皇を合祀。大宰府守護神として創建され、九州の総鎮守として崇敬を集めた。延喜式内名神大社。宝満さま。

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日本歴史地名大系 「竈門神社」の解説

竈門神社
かまどじんじや

[現在地名]太宰府市内山

宝満ほうまん(竈門山)頂から山麓にかけて所在する。旧官幣小社。現在の祭神は玉依姫命・神功皇后・応神天皇。「延喜式」神名帳記載の名神大社、御笠みかさ郡「竈門神社」は当社に比定され、同書臨時祭にも名神として名を連ねる。「延喜式」武田本は「カマカト」の訓を付している。古代には竈門宮とも称され、中世には宝満宮の呼称もみえる。現在は太宰府市・筑紫野ちくしの市・糟屋かすや宇美うみ町にまたがる宝満山の山頂に上宮、山麓の登山口に下宮があるが、明治初年の廃仏毀釈までは中腹に中宮もあった。平安時代からは竈門山かまどさん寺・大山だいせん寺・内山うちやま寺・有智山うちやま寺とも称される神宮寺を有し、一体となって活動している。

〔古代〕

 創建については明らかではないが、下宮げぐう礎石群(字御供屋谷)の調査では鴻臚館式瓦が発掘されており、八世紀後半にさかのぼるものと考えられる。確実な史料にみえるのは、竈門山寺については「叡山大師伝」延暦二二年(八〇三)閏一〇月二三日条(ほかに「扶桑略記」などにも同様の記載がみえる)、竈門神社については「続日本後紀」承和七年(八四〇)四月二一日条が早い例である。同書の記事により、同日「竈門神」の神階が従五位下から従五位上に昇叙されたことが知られる。以後、嘉祥三年(八五〇)一〇月七日に正五位上(文徳実録)、貞観元年(八五九)一月二七日に従四位下(「三代実録」、ただし正五位下からの昇叙とみえる)、元慶三年(八七九)六月八日に従四位上(同書)、寛平八年(八九六)九月四日に正四位上を授けられ(日本紀略)、嘉承元年(一一〇六)一一月三日には従一位より正一位に昇った(中右記)。奉幣記事は少なく、「続日本後紀」承和九年七月三日条にみえる程度である。組織については、天元二年(九七九)二月一四日の太政官符(類聚符宣抄)によれば、この時すでに大宮司が置かれていたことが知られる。ただし組織に関しては神宮寺との関係も考慮すべきであろう。社殿については数度の火災や遷宮が確認される。応徳二年(一〇八五)九月五日の賀茂道言日時勘文(石清水文書/大日本古文書四―一)がもっとも早い史料で、陰陽寮が遷宮日時を勘申している。長治二年(一一〇五)三月三日には上宮神殿が天火により焼亡し、神体も焼失した(「中右記」同年一〇月三〇日条、文永六年一一月一〇日「卜部兼文勘文」壬生新写文書/鎌倉遺文一四)。これに際して長治二年五月一九日には軒廊御卜が行われた(中右記)

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改訂新版 世界大百科事典 「竈門神社」の意味・わかりやすい解説

竈門神社 (かまどじんじゃ)

福岡県太宰府市に鎮座。旧官幣小社。玉依姫命を主神とし神功皇后,八幡大神を配祀する。宝満山頂に上宮,中腹に中宮,山麓に下宮がある。宝満宮ともいい《延喜式》には名神大社,これ以後に八幡神が配祀され,宝満大菩薩,宝満明神とも呼ばれた。840年(承和7)従五位下,1106年(嘉承1)正一位に昇る。伝えによると,1085年(応徳2)に〈九州の総鎮守で80庄の寄付を受けた〉という。1105年(長治2)大宰権帥藤原季仲らが神輿を射て流罪となる。1281年(弘安4)の蒙古襲来に加護があったといい,1466年(文正1)には地震祈禱を行った。中世には戦乱にまきこまれたが,1593年(文禄2)小早川隆景,1648年(慶安1)に黒田忠之が社殿を造営した。1618年(元和4)黒田長政,96年(元禄9)黒田綱政がおのおの25石を寄進した。神宮寺は天武天皇のころ心蓮の開基と伝え,竈門山寺,大山寺,有智山寺と号し天台宗に属した。僧坊370といわれ,中世には彦山(英彦山)と結んで修験霊場となり,少弐氏の居城となり,のち大友宗麟によって滅ぼされたが黒田氏によって25坊が復興した。胎蔵界の彦山に対する金剛界の霊場,修験の行場として盛んであったが,その後彦山から離れ,明治の神仏分離で修験僧は消滅した。例祭11月15日,厄除祭4月3日,春季祭4月8日,夏祭7月9日。宝物に狛犬,獅子頭がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「竈門神社」の意味・わかりやすい解説

竈門神社
かまどじんじゃ

福岡県太宰府(だざいふ)市と筑紫野(ちくしの)市および糟屋(かすや)郡宇美(うみ)町の境にある宝満山(ほうまんざん)に鎮座。山頂に上宮(じょうぐう)が、山麓(さんろく)に下宮(げぐう)と社務所(太宰府市内山(うちやま))がある。玉依姫(たまよりひめ)を主祭神とし、神功皇后(じんぐうこうごう)・八幡大神(はちまんのおおかみ)を配祀(はいし)する。古来、この地方の霊山的存在であったが、大宰府(だざいふ)の建設に際し、その東北の鬼門(きもん)よけのため八百万神(やおよろずのかみ)を祀(まつ)ったのが神社の創祀であるという。延喜式内社(えんぎしきないしゃ)で、神階(しんかい)は正一位。仏教と習合し、竈門(かまど)山寺らの神宮寺が建立され、最澄(さいちょう)・円仁(えんにん)なども渡唐の際に祈願している。中世以降は修験(しゅげん)の霊場として栄え、盛時は370坊を有したが、明治維新の神仏分離令により、山伏(やまぶし)たちは離山した。1895年(明治28)に官幣小社。境内の祭祀遺跡、経塚(きょうづか)遺跡、寺跡は貴重。

[渡辺 寛]

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百科事典マイペディア 「竈門神社」の意味・わかりやすい解説

竈門神社【かまどじんじゃ】

福岡県太宰府市に鎮座。上宮は宝満山頂にあり,中腹に中宮,山麓に下宮がある。旧官幣小社。玉依姫(たまよりひめ)命を主神とし,神功皇后,八幡大神を配祀する。延喜式内の名神大社。例祭は11月15日。

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