立ち渡る(読み)タチワタル

デジタル大辞泉 「立ち渡る」の意味・読み・例文・類語

たち‐わた・る【立ち渡る】

[動ラ四]
霧・雲などが、あたり一帯に広がる。
狭井河さゐがはよ雲―・り」〈・中・歌謡
車や人などが一面に立ち並ぶ。
「弦うち二十人…二なみに―・れり」〈紫式部日記
一方から他方に移動する。
「この夜らはさ夜ふけぬらし雁が音の聞こゆる空ゆ月―・る」〈・二二二四〉

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精選版 日本国語大辞典 「立ち渡る」の意味・読み・例文・類語

たち‐わた・る【立渡】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. 雲、霧などが立って一面におおう。一面にかかる。また、波が一面に立つ。
    1. [初出の実例]「狭井河(さゐがは)よ 雲多知和多理(タチワタリ) 畝火山 木の葉さやぎぬ 風吹かむとす」(出典古事記(712)中・歌謡)
    2. 「春の野に霧多知和多利(タチワタリ)降る雪と人の見るまで梅の花散る」(出典:万葉集(8C後)五・八三九)
  3. 人や車が一面に立ち並ぶ。一帯にとどまる。
    1. [初出の実例]「弦うち二十人、五位十人、六位十人、二なみにたちわたれり」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日)
  4. 立って移動する。こちらからあちらに行く。あちらからこちらに来る。
    1. [初出の実例]「この夜らはさ夜ふけぬらし雁(かり)が音の聞こゆる空ゆ月立渡(たちわたる)」(出典:万葉集(8C後)一〇・二二二四)

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