改訂新版 世界大百科事典 「等量曲線」の意味・わかりやすい解説
等量曲線 (とうりょうきょくせん)
isoquant
ある企業または経済のもっている技術のうち,一定の生産物を産出するための2種類の投入物間の技術的代替の可能性を表した曲線。等生産量曲線,等産出量曲線とも呼ばれる。たとえば,100tの小麦を作るのに必要な労働力と農業機械数には,他の投入物(土地,肥料等)を一定としても,さまざまな組合せが考えられる。これらの組合せの軌跡が等量曲線であり,生産量が変化したり,他の投入物の投入量が変化すれば,等量曲線の形状も変化する。ある労働力と資本設備の組合せのもとで,その点での等量曲線の接線のこう(勾)配にマイナス1を乗じた数は,(労働の資本に対する)技術的限界代替率と呼ばれ,生産量を同一に保つという条件のもとで労働力1単位と代替できる資本量を表す。この労働の資本に対する代替の可能性は,労働投入量が増加すれば減少するから,技術的限界代替率は同一等量曲線上では労働投入量の増加とともに逓減する。したがって,等量曲線は右下がりで,原点に対して凸の形状をなす。
執筆者:奥野 正寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報