改訂新版 世界大百科事典 「筋痙縮」の意味・わかりやすい解説
筋痙縮 (きんけいしゅく)
muscle spasticity
筋緊張(筋トーヌス)の亢進した状態の一つ。筋痙縮では,安静時には四肢の筋肉はふつう弛緩した状態にあるが,他動的に筋肉を伸ばそうとすると抵抗を感じ(これは伸展反射stretch reflexによる),さらに伸展速度を増すとそれに伴って抵抗が強まる。つまり伸展反射の亢進した状態になっている。典型的な例では,ある程度抵抗が強くなったところで急激に抵抗がなくなる〈折りたたみナイフ現象clasp knife phenomenon〉がみられる。筋痙縮は,脳卒中による片麻痺や脊髄損傷による対麻痺など,随意運動をつかさどる錐体路系の障害で出現する。
なお実際上は筋固縮muscle rigidityと共存している場合もあり,そのような場合は強剛痙縮(固痙縮)rigospasticityと呼ぶ。
執筆者:水沢 英洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報