筑摩の祭(読み)つくまのまつり

精選版 日本国語大辞典 「筑摩の祭」の意味・読み・例文・類語

つくま【筑摩】 の 祭(まつり)

滋賀県米原市朝妻筑摩にある筑摩神社祭礼。昔は四月八日、現在は五月八日に行なわれる。古くは、女が交渉をもった男の数だけ鍋をかぶって神幸に従い、その数をいつわれば神罰を受けるとも、また、八人の処女が鍋をかぶって神前に舞い、もし男と通じていれば鍋が割れるともいわれた。今は狩衣(かりぎぬ)、緋(ひ)の袴(はかま)をつけた八人の少女が張子の鍋をかぶって神輿供奉(ぐぶ)する。渡御途中、神輿を琵琶湖にかつぎ入れる。日本三奇祭の一つ。筑摩鍋祭。つくままつり。《季・夏》
伊勢物語(10C前)一二〇「近江なるつくまのまつりとくせなんつれなき人の鍋の数見む」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の筑摩の祭の言及

【なべ(鍋)】より

…なお,〈なべかぶり祭〉と呼ぶ奇祭が滋賀県米原町の筑摩(ちくま)神社に伝えられている。《伊勢物語》などに見られるごとく,〈筑摩(つくま)の祭〉として平安時代すでに都にも知られていた祭りで,女たちが交渉をもった男たちの数だけ,なべを重ねてかぶり,神幸にしたがったもので,なべの数を偽れば神罰をこうむるとされていた。いまは張子のなべをかぶった少女たちが神輿に随行するが,これはなべが呪具(じゆぐ)としての意味をもっていたためだとされる。…

※「筑摩の祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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