(読み)シイナ

デジタル大辞泉 「粃」の意味・読み・例文・類語

しいな〔しひな〕【×粃/×秕】

殻ばかりで中身のないもみ。
うまく実らないで、しなびてしまった果実
中身のないもの。価値のないもの。
勘平は四十七騎の―なり」〈柳多留・五〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「粃」の意味・読み・例文・類語

しいら【粃】

〘名〙 =しいな(粃)
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)一〇「不穀と云は、大夫に向いて君が吾が身を云ことばぞ。みのらずと云ふ心ぞ。しいらのやうな者と、卑下して云ぞ」

みよさ【粃】

〘名〙 殻ばかりで実のない籾(もみ)。しいな。みよし
仮名草子浮世物語(1665頃)一「心より起らぬからに道心の菩提の種もみよさなるべき」

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改訂新版 世界大百科事典 「粃」の意味・わかりやすい解説

粃 (しいな)

稔実不良のもみのことで,脱穀機唐箕(とうみ)で風選すると飛んでしまう。もみがらの中がまったくからなもの(不稔という)ときわめて貧弱な実が入っているもの(発育停止という)とがある。不稔は受精しなかったもので,めしべがしなび胚乳も胚も発育せず,まったくからっぽにみえる。発育停止は,受精したが玄米の発育のきわめて初期に発育が止まったものであるので,不稔と違って胚乳も少し発育して,デンプンもたまっており,胚も小さいながら発育している。しいなのできる原因にはいもち病やメイチュウなどの病害虫も関係するが,(1)不稔は開花期に冷害干ばつあるいは台風や冠水などの障害をうけると開花や受精がさまたげられて発生する。(2)発育停止は出穂後20日ぐらいの間に,イネが衰えたり,穂の方へいく養分が少なくなると発生する。また不良天候が続いたり,イネが倒伏したり,水に浸ったりすると発生する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「粃」の意味・わかりやすい解説


しいな
immature

稔実不良の籾のこと。穀類穎果の中には籾殻だけがあって子実の充実していないものが出る。これは開花時の低温,降雨,過度の乾燥などのため受精しなかった場合とか,受精後に養分が不足するなど,養分の転移が妨げられたときに生じる。

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