粒状斑(読み)リュウジョウハン(その他表記)granule

翻訳|granule

デジタル大辞泉 「粒状斑」の意味・読み・例文・類語

りゅうじょう‐はん〔リフジヤウ‐〕【粒状斑】

太陽の光球面を撮影したとき、一面に見られる白い粒状斑点模様。対流によって上昇したガス塊の頭部と考えられ、平均寿命は数分。

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精選版 日本国語大辞典 「粒状斑」の意味・読み・例文・類語

りゅうじょう‐はんリフジャウ‥【粒状斑】

  1. 〘 名詞 〙 太陽の光球面に観測される、米粒状の斑点。ガスの対流で生じると考えられ、寿命は数分。大きさは平均約六〇〇キロメートルで、形は円形近い

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改訂新版 世界大百科事典 「粒状斑」の意味・わかりやすい解説

粒状斑 (りゅうじょうはん)
granule

太陽の表面全体に分布している粒々の斑点。地上空気の乱れの少ないときに,望遠鏡により太陽の拡大写真を色フィルターをかけて撮影すると,太陽面は多角形状のさしわたし約1000kmの明るい斑点におおわれていることがわかる(太陽半径は69.6万km)。斑点と斑点の間は細い暗い筋となって見える。肉眼で見える太陽表面は光球と呼ばれ厚さ約400kmの層であるが,そこではエネルギーの流れは放射で伝達されている。その直下に厚さ約20万kmにわたって対流でエネルギーが運ばれる層があるが,その最上層が光球をとおして見えるために,上昇する熱いガス塊が明るい斑点として見え,下降する冷たいガス塊が暗い線条となって見えている。明るさの平均値からの偏りは波長0.5μm付近の連続光で観測した場合に±20%弱,温度差に換算すると±200Kになる。なお,平均温度は約6400Kである。ガスが上下運動する速度は1km/s弱で,粒状斑の寿命は約8分である。太陽面には黒点などに強い磁場があるが,一般の場所にも数百から2000ガウス(=0.2T)にのぼる磁場があり,この磁場は粒状斑の暗い筋の中に見いだされることが多い。太陽と表面温度が同じかあるいは低い一般の恒星でも粒状斑はあるものと信じられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「粒状斑」の意味・わかりやすい解説

粒状斑
りゅうじょうはん

太陽面上に見える粒状の模様。光球の下部にある対流層から熱いガス塊が上昇して光球にまで達する。その頭部が粒状の斑点として見える。大きさは約500キロメートルで、地球から見た視角は1秒角以下という小さいものである。シーイング地球大気の空気の乱れに起因する天体像のゆらぎ)がよいときに観察できる。大気圏外の科学衛星から詳しく観測できるようになった。ときには、粒状斑の境に明るい筋が現れる。これをフィリグリーとよぶ。粒状斑の対流運動で磁場が集められた領域と考えられている。

[日江井榮二郎]


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百科事典マイペディア 「粒状斑」の意味・わかりやすい解説

粒状斑【りゅうじょうはん】

太陽の全表面にわたって多数存在する米粒状の小斑点。観測条件が特によいとき,太陽周縁付近の暗い所に観察される。平均直径1000km。数分程度の寿命で消滅する。上昇する熱いガス塊が明るい斑点として見えるもの。
→関連項目光球

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世界大百科事典(旧版)内の粒状斑の言及

【光球】より

…これに対し光球より下の対流層では,対流によって熱が伝えられている。色フィルターを通して太陽面の拡大写真を撮ると,太陽全面が約1000kmの大きさの明暗の斑点に覆われていることがわかるが,この斑点を粒状斑と呼んでいる。これは対流の現れであり,光球層というフィルターを通して対流層の最上層を透かして見ていることになる。…

【太陽】より

…光球のモデルは,エネルギーが放射の形で流出しているという放射平衡と,大気が静水平衡にあるという仮定から,今までに述べた種々の観測に合致するように導き出され,ほぼ完成の域に達しているといえよう。 黒点や白斑は光球の現象であるが,その外に,太陽像の良好な場合には,粒状斑が光球のほぼ全面を覆っているのが認められる。これらは1000km程度の大きさのふぞろいな多角形の構造であり,そのおのおのは8分くらいの寿命をもっている。…

※「粒状斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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