普及版 字通 「粛(漢字)」の読み・字形・画数・意味
粛
常用漢字 11画
(旧字)肅
12画
[字訓] つつしむ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
旧字は肅に作り、聿(いつ)+規(き)の初形。規は象形的にとかかれ、それがのち(えん)の形とされた。聿は筆。は規の字形では夫とされている形で、ぶんまわし。もと筆とぶんまわしとで規画する意である。方形の盾に文様を刻することを(・雕)といい、画くことを畫(画)という。畫の田の部分が、雕飾を施したところである。肅とは盾に雕・畫を加える形である。〔説文〕三下に「事を持すること振なるなり。聿の(ゑん)の上に在るに從ふ。戰戰兢兢たるなり」という。〔詩、小雅、小旻〕「戰戰兢兢として 深淵に臨むが如く 冰を履むが如し」の句によって附会したので、肅の字の形義とは何の関係もない。淵は回水、水の旋回する形をとる字で、肅の従うところのとはもと同じでない。肅を粛敬の意に用いるのは、文様を加えることが、ものを聖化する方法と考えられたからであろう。
[訓義]
1. おごそかにかざる、文様を施して聖化する。
2. つつしむ、うやまう。
3. きびしい、おごそか、しずか。
4. ひきしまる、ととのう。
5. すすむ、しずかにすすむ。
6. 拝礼の一。
7. 縮と通用する。縮に縦直の意がある。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕肅 イツクシ・シジム・ススム・ツトム・ウヤマフ・ウルハシ・ツツシム・トトノホル・シヅカニ〔立〕肅 カゾフ・ススク・スク・ウヤマフ・カザル・イツクシ・ツツシム・ウルハシ
[声系]
〔説文〕に肅声として・嘯・簫・・など九字を収める。嘯・簫はその吹く音をとり、は文様の繁縟なる意をとり、縮の義と近い。
[語系]
肅siukとsiuとは声が近い。肅は規を用いて文様を画くこと、これを織物に施すことをという。縮shiukは〔説文〕十三上に「亂るるなり」とするが、刺によって伸縮の生ずることをいう。
[熟語]
粛遏▶・粛焉▶・粛▶・粛駕▶・粛戒▶・粛▶・粛客▶・粛恭▶・粛敬▶・粛啓▶・粛虔▶・粛坐▶・粛殺▶・粛此▶・粛祗▶・粛爾▶・粛粛▶・粛如▶・粛森▶・粛慎▶・粛正▶・粛清▶・粛斉▶・粛整▶・粛静▶・粛然▶・粛▶・粛霜▶・粛聴▶・粛呈▶・粛拝▶・粛風▶・粛覆▶・粛奉▶・粛睦▶・粛穆▶・粛揖▶・粛雍▶・粛容▶・粛▶・粛立▶・粛▶・粛烈▶・粛和▶
[下接語]
允粛・恪粛・恭粛・勤粛・緊粛・敬粛・謙粛・厳粛・祗粛・自粛・振粛・森粛・震粛・斉粛・清粛・静粛・整粛・荘粛・端粛・忠粛・貞粛・平粛・明粛・容粛
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報