糟屋氏(読み)かすやうじ

改訂新版 世界大百科事典 「糟屋氏」の意味・わかりやすい解説

糟屋氏 (かすやうじ)

粕谷,粕屋とも書く。相模国糟屋荘を本領とする中世武家。《続群書類従》所収の系図によれば,〈相州の守護〉として下向した藤原良方の子元方が糟屋荘に生まれ糟屋太郎を名のったのが始まりというが,真偽のほどは不明。元方の子盛季は糟屋荘司,盛季の孫盛久は糟屋権守と称しているから,糟屋氏は糟屋荘の荘官であると同時に国衙とも関係を持っていたと考えられる。盛久は1180年(治承4)の源頼朝挙兵時に平家方に加わったが,その子有季が84年(元暦1)の平家追討軍中にみえるので,糟屋氏はこのころまでに鎌倉御家人の列に加えられたとみてよい。有季はその後数々の合戦で功をたて有力御家人比企能員の婿に迎えられたが,1203年(建仁3)の比企の乱で敗死し,さらに21年(承久3)の承久の乱では有季の子有久が上皇方について討死して一族は没落する。なお残された子孫は北条氏の被官となって,わずかに糟屋氏の命脈を保った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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