紀女郎(読み)キノイラツメ

デジタル大辞泉 「紀女郎」の意味・読み・例文・類語

き‐の‐いらつめ【紀女郎】

奈良中期の万葉歌人。名は小鹿おしか安貴王あきのおおきみの妻。大伴家持おおとものやかもちとの贈答歌で知られる。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紀女郎」の意味・わかりやすい解説

紀女郎
きのいらつめ

生没年未詳。『万葉集末期の歌人。別名紀小鹿(おしか)。紀鹿人(かひと)の娘で、安貴王(あきのおおきみ)の妻。『万葉集』に12首の短歌が所収。このうち5首が大伴家持(おおとものやかもち)への贈歌。いずれも友交関係による社交的な歌であるが、当時の一般的傾向として恋歌的な、あるいは諧謔(かいぎゃく)的なことば遣いが持ち込まれる。「戯奴(わけ)がためわが手もすまに春の野に抜ける茅花(つばな)そ召して肥えませ」など、当時の新風の一典型といえる。事実とは異なる恋や、言語遊戯的な諧謔を通して、和歌が社交の重要な具となりつつあった。また一方では、月下の梅への観照による新しい風流の歌をも詠んでいる。

鈴木日出男

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「紀女郎」の解説

紀女郎 きの-いらつめ

紀少鹿女郎(きの-おしかのいらつめ)

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