細川の血達磨(読み)ほそかわのちだるま

改訂新版 世界大百科事典 「細川の血達磨」の意味・わかりやすい解説

細川の血達磨 (ほそかわのちだるま)

講談。肥後熊本の細川家に伝わる名宝の由来譚。主人公の名をとって《大川友右衛門(おおかわともえもん)》とも題する。細川綱利侯に仕えた大川友右衛門は,江戸屋敷類焼の際,切腹して主家の重宝達磨掛軸をみずからの腹中に収め,命にかえてみごと,お家の宝を守り通したという。この血に染まった達磨が,細川の血達磨と呼ばれ,長く友右衛門の忠節がたたえられた。いわゆる武勇物,忠義物の一つであるが,その他友右衛門が綱利の小姓と男の契り(衆道)を結ぶ話や妖刀村正のたたりなど面白いくだりがある。
血達磨物
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