結晶弾性率(読み)ケッショウダンセイリツ

化学辞典 第2版 「結晶弾性率」の解説

結晶弾性率
ケッショウダンセイリツ
crystalline modulus

結晶の三次元方向の各弾性率.結晶を構成している原子分子の相互作用を計算することにより,各結晶軸方向の弾性率を求めることができる.たとえば,ポリエチレンの分子鎖方向の弾性率は,炭素-炭素の共有結合の伸び変形の計算から,約250 GPa,破断強度は約30 GPa である.この値は,金属の破断強度(約30 GPa)やサファイアの破断強度(約50 GPa)に匹敵し,実際に高分子材料において,分子鎖方向の強度を利用した高強度材料が製造されている.ここで,一般の高分子材料の力学強度が弱いのは,分子鎖方向の強度ではなく,分子間のすべりによるせん断強度がおもにはたらく結果である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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