物の買主が売主に代金を支払ったり,雇われた人が約束どおり働いたりするように,債務者が法律上しなければならないことをいう。法律的にいえば,債務の目的(内容)である債務者の行為を指すことになる。買主の給付に対し売主が売買目的物を買主に引き渡すべき給付を反対給付という。給付は,積極的に債務者が一定の行為をする作為給付だけでなく,境界線から1m内には建物を建築しないというような,一定の行為をしない不作為給付をも含む。AがBに100万円の借金を返す場合のように,Aの給付の目的物が分割可能なものを可分給付といい,AがBに馬1頭を引き渡さねばならない場合のように,給付目的物が分割できないものを不可分給付という。また,どこそこの土地や建物を引き渡すというように特定した目的物を内容とするものを特定給付といい,ビール1ダースとか大豆5tというふうに一定の種類を一定量交付することを内容とする給付を不特定(種類)給付という。債権がどのような給付をその内容とするかによって,それぞれの法律上の扱いを異にする(〈種類債権〉の項目を参照)。たとえば画家に肖像画を描かせるというような給付は画家の意思に反してこれを実現することはできず,損害賠償によって埋め合わせるよりほかない。しかし土地を引き渡す給付は,債務者の意思に反してでも,債権者が国家権力(裁判所)の助力によって,強制的に実現することが可能である。このような意味において,債権は給付請求権である,といわれることが多い。
執筆者:石田 喜久夫
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私法上、債権の目的となる債務者のすべき行為をさす(民法406条・537条1項、供託法10条ほか)。たとえば、売り主が目的物を引き渡し、被用者が労務を提供することがそれである。これに対し、買い主が代金を支払い、雇い主が賃金を支払うことは反対給付とよばれる。給付の内容は、金銭その他の物の交付である場合(民法689条ほか)もあれば、療養の給付(健康保険法59条)などのように役務の提供である場合もある。給付はその性質に応じて、作為(積極的)給付と不作為(消極的)給付、可分給付と不可分給付、特定給付と不特定給付、継続的給付と一時的給付などに区分され、それぞれ法律上の扱いは異なる。
[川井 健]
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…他の物と区別さるべき一定の性質を有する物(種類物)の一定数量の給付を目的とする債権。種類債権は不特定物債権ともいわれ,特定物債権と対置される。…
※「給付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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