改訂新版 世界大百科事典 「続本朝往生伝」の意味・わかりやすい解説
続本朝往生伝 (ぞくほんちょうおうじょうでん)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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平安後期の往生伝。一巻。大江匡房(おおえのまさふさ)著。1101年(康和3)から11年(天永2)までの間の成立。書名は、慶滋保胤(よししげのやすたね)の『日本往生極楽記』に続く意。一条(いちじょう)天皇以下の往生者(阿弥陀(あみだ)仏の浄土に往生した人)42名の略伝を記す。配列は、高位者からの品位別で、各項内はほぼ年代順となっている。おもな往生者には、源顕基(あきもと)、遍昭(へんじょう)、源信(げんしん)、増賀、慶滋保胤、大江定基、源頼義(よりよし)らがいる。往生者の大半は天台宗系で、とくに横川(よかわ)(比叡(ひえい)山三塔の1)の関係者が多い。『拾遺往生伝』以下の往生伝に影響を与えた。
[多田一臣]
『井上光貞・大曽根章介校注『日本思想大系7 往生伝・法華験記』(1974・岩波書店)』
…神儒仏道にひろく通じ,諸道兼学の啓蒙的百科全書家ともいえよう。わが国の神仙と目される37人の伝を記した《本朝神仙伝》,慶滋保胤(よししげのやすたね)の《日本往生極楽記》のあとを継ぎ,寛和以後の往生人42人の伝を録した《続本朝往生伝》は唱導文学のうえで,また彼の言談を蔵人藤原実兼が筆録したものといわれる《江談(ごうだん)》(《江談抄》)は説話文学のうえで,彼の制作した願文115編を撰録した《江都督納言願文(ごうととくどうげんがんもん)集》とともに院政期文学史の流れの中で注目すべき遺産である。そのほか彼の作品は《朝野群載》《本朝続文粋》などに,自照的な《暮年詩記》,批評文学としての《詩境記》,院政期の庶民生活をつづった《対馬貢銀記》《遊女記》《狐媚記》《傀儡子記(くぐつき)》《筥崎宮記(はこざきぐうき)》《洛陽田楽記》などの特色ある作品が見られる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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