家庭医学館 「線維肉腫」の解説
せんいにくしゅ【線維肉腫 Fibrosarcoma】
線維肉腫は、骨の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)の1つですが、発生数は少なくて、骨肉腫(こつにくしゅ)の約4%くらいです。
この病気が発生しやすい年齢は、10~40歳で、30歳代にもっとも多くみられます。
発生しやすい部位は大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)、脛骨(けいこつ)(すねの太い骨)、腓骨(ひこつ)(すねの細い骨)などの長管骨(ちょうかんこつ)(長くて大きな筒状の骨)のほか、骨盤(こつばん)や肩甲骨(けんこうこつ)などの扁平骨(へんぺいこつ)にも発生します。
[症状]
主要な症状は痛みで、ごくまれに、病的骨折をおこして発見されることもあります。
[検査と診断]
診断は、X線像、CT、MRIなどの画像検査と、腫瘍の一部をとって組織の変化を顕微鏡で調べる生検(せいけん)(病理組織学的検査)で行なわれます。
[治療]
生検によって、腫瘍細胞のタイプがわかり、それによって転移しやすいかどうかなど、悪性の程度がわかりますので、悪性度が低ければ、腫瘍部分の切除と、それによっておこる骨の欠損に対する再建術が、おもな治療法となります。
悪性度が高い腫瘍では、抗がん剤の使用などによる補助化学療法が必要となります。
日本整形外科学会がまとめた記録によると、線維肉腫の手術後の5年生存率は49%です。治療を始めた時点で転移がない例では、5年生存率は60%となっています。