縫いぐるみ(読み)ぬいぐるみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「縫いぐるみ」の意味・わかりやすい解説

縫いぐるみ
ぬいぐるみ

綿やパッキングを芯(しん)にして、外側から布を縫い合わせてつくった人形玩具(がんぐ)。平安時代から室町時代にかけ、幼児の災厄を除く祓物(はらいもの)として布製の人形「ほうこ」(這子)があり、江戸時代にはこれを雛(ひな)祭にも飾った。また各家庭では、手作りのものを幼女の遊び相手として与えた。これが日本では縫いぐるみの祖型ともいうもので、「お猿さん」などとよばれた。明治以降には欧米風の縫いぐるみが渡来、ベビー人形、指人形や、クマウサギイヌなどの動物類、さらにフランス人形作りにもこの手法が応用され、大正末期には家庭婦人の間で手芸として流行した。

 第二次世界大戦後は、化学繊維を使用するシール物が盛んにつくられるようになり、従来の幼児向きの玩具から、広く生活のアクセサリーとして迎えられる傾向が生じている。愛好者層も、最近では中学校高学年から会社勤めの女性中心にその範囲が拡大し、いわゆるアダルト(成人)向き人形玩具ともなり、結婚祝いの贈り物やカー・アクセサリーなどに用いられ、マスコット動物類に人気がある。

[斎藤良輔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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