縫箔(読み)ヌイハク

デジタル大辞泉 「縫箔」の意味・読み・例文・類語

ぬい‐はく〔ぬひ‐〕【縫×箔】

刺繍ししゅう摺箔すりはくを併用して布地模様を表すこと。また、そのもの。
1で模様を表出した能装束。主に女役の着付けに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「縫箔」の意味・読み・例文・類語

ぬい‐はくぬひ‥【縫箔】

  1. 〘 名詞 〙 衣服などの模様の縫い取りに金糸または銀糸をまじえること。あるいは、刺繍(ししゅう)をし、金銀の箔を押すこと。また、そのように装飾された衣。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「黒紅に御所車の縫箔(ヌイハク)小袖」(出典:浮世草子・万の文反古(1696)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「縫箔」の意味・わかりやすい解説

縫箔
ぬいはく

縫い(刺しゅう)と箔(摺箔(すりはく))を用いて裂地(きれじ)に模様加工をすること。室町末期から桃山時代を経て江戸前期に至る初期小袖(こそで)染織の時代においては、多彩な絵模様を表す手段として、盛んに用いられた。こうした技術を業とするのが縫箔屋であったが、後世では、単に刺しゅう屋のことも縫箔屋と称している場合がある。また、縫箔は、能の装束では模様が縫箔で加工されており、女の役柄が着付け、または腰巻にして用いる衣装名称になっている。

山辺知行


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百科事典マイペディア 「縫箔」の意味・わかりやすい解説

縫箔【ぬいはく】

刺繍(ししゅう)と摺箔(すりはく)とを併用して文様を表したもの。摺箔の平板さを補うためにところどころ縫いを加えたのが,次第に縫いの部分が多くなったもので,桃山時代に流行し,華麗な小袖(こそで)や能衣装が作られた。

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