繰る(読み)クル

デジタル大辞泉 「繰る」の意味・読み・例文・類語

く・る【繰る】

[動ラ五(四)]
細長い物を、順に引き出して物に巻きつけたり、端から順に手元に引いてまとめたりする。たぐる。「まゆから糸を―・る」「すばやく釣り糸を―・る」
送り動かして移動させる。「雨戸を―・る」
順に数える。「日を―・ってみたら、もう二か月にもなる」
綿繰り車にかけて綿花種子を取り去る。
紙などひと続きのとじてあるものを順にめくる。「帳簿を―・る」「暦を―・る」
謡曲で、音をクリの高さに上げる。→繰り2
義太夫節で、ある音程から一段上の音程へ上げて語る。高潮した場面に用いる。
演劇で、俳優が頭の中でせりふ順序をつけ、その順に従って述べていく。
[可能]くれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「繰る」の意味・読み・例文・類語

く・る【繰】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 糸など、ひも状のものを物に巻きつけて少しずつ引き出す。また、それを巻きつける。たぐる。
    1. [初出の実例]「をみなへし咲き沢の辺の真葛原いつかも絡(くり)て我が衣(きぬ)に着む」(出典:万葉集(8C後)七・一三四六)
    2. 「〈本〉深山の小葛(こつづら)〈末〉久礼(クレ)久礼(クレ)小葛」(出典:神楽歌(9C後)早歌)
  3. 綿繰り車にかけて木綿(きわた)の種を取り去る。
    1. [初出の実例]「世をわたる業とて、木綿(きはた)をくり習ひ」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)一)
  4. 順々に送りやる。また、つまぐる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  5. 謡曲で上音からクリ節(ぶし)高音にうたう。
    1. [初出の実例]「ただ甲の物一つにてやがてくるは悪(わろ)き也」(出典:申楽談儀(1430)曲舞の音曲)
  6. 浄瑠璃節の節章用語の一つ。ある音程から一段上の音程へ上げて語る。高潮場面に用いる。
  7. 順々に数えてゆく。
  8. 書籍などのページをめくる。また、めくって必要なことがらを探し出す。
    1. [初出の実例]「如形(かたのごとく)往生要集文字よみ〈略〉念仏往生のたのもしき様など、時々はくり見るべき也」(出典:一言芳談(1297‐1350頃)上)
    2. 「筆を啣へて忙し気に帳簿を繰るもの」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  9. 演劇で、俳優が頭の中で台詞(せりふ)の順序をつけ、その順に述べてゆく。

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