罹患率あるいは疾病率ともいう。一般的には次式によって与えられる。
上式のうち,年央人口とは本来7月1日の,日本では国勢調査の行われる10月1日の人口をいう。疾病統計の中で,有病率とともによく用いられる衛生統計の重要な指標の一つ。同時に死亡統計との関連上あるいは臨床医学の分野や公衆衛生対策上ならびに地域医療の充実といった面でも積極的に用いられる。しかし,罹病率あるいは罹患率の罹病あるいは罹患の意味を考えると,なにをもってある疾病に罹病したとするのか,といえば,当然医者の診断によるということになるが,現実的には,罹病していても医師にかかっていない場合もあるわけだから,医師の診断の結果としての罹病統計は,社会に発生している罹病者を全部計上したものでないということになる。さらに,疾病によっては病識を欠くものがあったり,疾病に対する意識に個人差があるなどがあって,罹病の実態を厳密にとらえることはむずかしい。これに対して死亡者数は,周産期(妊娠29週から生後28日までの時期)における死亡や犯罪の場合を除いて,それを偽って計上する必要がないので,罹病統計よりは正確であると考えられる。以上のことからも分かるように,ある疾病の罹病率統計を用いてある地域住民の健康状態を判断しようとする場合には注意が必要となる。また,発病までの時間が長く,しかも治癒するまでの経過が長い疾病ではその日数をかぞえることはむずかしい。そこで通例は,個人的な努力だけでは対応できず,行政的な防疫対策を必要とする,伝染病予防法に基づく法定伝染病11種,指定伝染病2種(1997年に1種追加),届出伝染病13種のほか,性病予防法,結核予防法,食品衛生法により届出を要する疾病に限定して罹病統計がとられ,〈伝染病及び食中毒統計概況(月報)年計分〉などの形で公表されている。月間罹病率は次の式による。
→医療統計
執筆者:飯淵 康雄
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