(読み)ダレ

デジタル大辞泉 「誰」の意味・読み・例文・類語

だれ【誰】

[代]《古くは「たれ」》不定称の人代名詞
名を知らない人、または、その人とはっきりわからない人をさす。「あの人はだ」「に渡せばよいのか」
(「だれか」の形で)自分以外の不特定の人をさす。「か来たようだ」「か欲しい人にあげよう」
(「だれも」の形で、打消しの語を伴って)全面的な否定を表す。「もいない」→たれ(誰)
[類語]どなた何者・どの方・どの人・どいつ何奴どちら何人・誰か・誰かさん・どなたか・誰か彼か・

すい【誰】[漢字項目]

常用漢字] [音]スイ(漢) [訓]だれ たれ た
人の名を尋ねる語。だれ。「誰何すいか
難読彼誰時かわたれどき誰某たれがし誰某だれそれ

たれ【誰】

[代]不定称の人代名詞近世からしだいに「だれ」が一般的となり、現代では文語脈の中に残る。
「これにて見苦しとは―も得言わじ」〈鴎外舞姫
嬢子をとめども―をしかむ」〈・中・歌謡

た【誰】

[代]不定称の人代名詞。だれ。たれ。→
「―にかも依らむ神の宮人」〈・下・歌謡〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「誰」の意味・読み・例文・類語

たれ【誰・孰】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 近世後期以降「だれ」とも ) 不定称。その人とはっきりわからない人や、名を知らない人などに対して用いる。また、はっきりと人の名を表わさず、特定の人を間接的に述べる。た。
    1. [初出の実例]「大和の 高佐士野を 七行く 嬢子ども 多礼(タレ)をし枕(ま)かむ」(出典古事記(712)中・歌謡)
    2. 「水底ふ 臣の嬢子を 多例(タレ)養はむ」(出典:日本書紀(720)仁徳一六年七月・歌謡)
    3. 「たれぞ。名のりこそゆかしけれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
    4. 「道路に袖をひろげ食を乞し女房の倒て死しは誰(タレ)か母也」(出典:太平記(14C後)一一)

誰の語誌

( 1 )「た(誰)」と意味内容は同じであるが、より広い用法をもっていて、和文脈、漢文脈にも、また、さまざまな助詞を伴っても用いられる。
( 2 )「たれか…せむ」などの形で疑問や反語的表現を伴って、その事柄の実現性などを強く否定する用法も多くみられる。
( 3 )「だれ」と変化したのは、近世後期からの現象と思われる。現代では、「だれ」が一般的であるが、主に文語脈の中では、「たれ」ともいう。


た【誰】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 不定称 ) ( 格助詞「が」を伴って連体修飾語として用いることが多い ) =たれ(誰)
    1. [初出の実例]「御諸に 築くや玉垣 斎(つ)き余し 多(タ)にかも寄らむ 神の宮人」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 「Taga(タガ) コレヲ イタイタカ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

誰の語誌

( 1 )「たれ」に比して用法は限られ、もっぱら和文に用いられ、訓読文における確実な用例はない。
( 2 )格助詞「が」(連体修飾格・主格用法)、係助詞「そ(ぞ)」(文末用法)をともなう時には、多くは「たが」「たそ」と用い、「たれが」「たれそ」はあまり見られない。特に、格助詞の場合、「の」ではなく「が」をともなう点で、他の人称代名詞「あ(吾)」「わ(我)」「な(汝)」に共通し、「が」ではなく「の」をともなう指示代名詞「こ(此)」「そ(其)」「か・あ(彼)」とは対照的である。「天草本伊曾保」や狂言にも「たが」「たそ」の形で用いられているところから、中世末ごろまで口語的性格を保っていたかとも考えられる。


だあれ【誰】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「たあれ」とも ) 「たれ(誰)」の変化した語。不定称。多く打消の意を強めたり、問いかける時に用いられる。
    1. [初出の実例]「だあれでも無いと綿の師屁をかぶり」(出典:雑俳・柳多留‐八(1773))

だれ【誰・孰】

  1. 〘 代名詞詞 〙たれ(誰)

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