習慣性流産(読み)シュウカンセイリュウザン

デジタル大辞泉 「習慣性流産」の意味・読み・例文・類語

しゅうかんせい‐りゅうざん〔シフクワンセイリウザン〕【習慣性流産】

習慣流産

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「習慣性流産」の意味・わかりやすい解説

習慣性流産
しゅうかんせいりゅうざん

連続3回以上の自然流産の繰り返しをいい、習慣流産ともいう。妊娠のたびごとに、しかもだいたい同じ時期になると流産を繰り返すもので、連続2回の流産を繰り返したものは次回の妊娠予後がよくなく、検索や治療上にも問題があるので、習慣流産に準じて扱われる。

 流産の原因は複雑多岐にわたるが、一般に胎児側(受精卵因子と母体側因子に分けられている。胎児側因子としては、染色体異常が注目されている。母体側因子としては、性器の異常と性器外の異常が考えられる。性器に関する因子としては、子宮の形態異常や位置異常をはじめ、子宮筋腫(きんしゅ)、子宮内膜症子宮腔(くう)癒着症などがあるが、とくに習慣流産の場合には子宮頸管(けいかん)無力症が原因となっていることが少なくない。子宮頸管無力症は、主として妊娠中期以降、とくに自覚症状もないうちに子宮口がいつのまにか開き、多くは破水して流産する例が多い。この場合、子宮頸管縫縮術によって子宮口を結紮(けっさつ)しておき、分娩(ぶんべん)直前に糸を抜く方法が効果的である。このほか抗リン脂質抗体症候群、内分泌因子としては、黄体機能不全による子宮内膜異常、糖尿病甲状腺(せん)疾患副腎(ふくじん)疾患などがあり、またトキソプラズマ症梅毒などの感染症も、習慣流産の原因として考えられている。なお、原因のはっきりしない例も少なくないが、男女間の血液型不適合が原因でおこることもある。

 対策としては、非妊時に系統的検査を行ったうえ、チェックされた異常についてはできる限り治療し、原因除去を図るべきである。妊娠時には系統的検査を行いにくいので、対症的治療を行いながら経過観察を続ける。

[新井正夫]

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