翻・飜・飄(読み)ひるがえる

精選版 日本国語大辞典 「翻・飜・飄」の意味・読み・例文・類語

ひる‐がえ・る ‥がへる【翻・飜・飄】

〘自ラ五(四)〙
① ひらりと返る。さっとひっくりかえる。裏返しになる。裏返る
※大唐西域記長寛元年点(1163)三「龍翻て池を阿羅漢に請ふ」
※がらくた博物館(1975)〈大庭みな子〉犬屋敷の女「ひるがえる黒いドレスと」
② 旗や幟(のぼり)などが風にひらひらとする。風になびく。ひらめく。はためく。
※霊異記(810‐824)中「幡足は八方に飄り」
③ 今までの態度や説が急にかわる。反対になる。
(イ) 反対の側につく。裏切る。寝がえる。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)五「謀(ひるがヘリ)不軌を為して翻りて害の心を起す」
(ロ) 過去を悔い行ないを改める。心をかえて善や正につく。
書紀(720)神武即位前戊午一二月(北野本訓)「而して猶迷図(まとへるはかりこと)を守りて、復改意(ヒルカヘルこころ)無し」
④ 身を躍らせて飛ぶ。また、風が物をあおるように吹く。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「然して後に翻(ひるかヘリ)飛ぶ」

ひる‐がえ・す ‥がへす【翻・飜・飄】

〘他サ五(四)〙
① ひらりと返す。さっとひっくりかえす。うらがえす。
海道記(1223頃)鎌倉遊覧「峯の嵐、声落ちて夕べの袖をひるがへし」
② 身を躍らせて飛ばす。また、風が強く吹いて物をあおる。
※和漢朗詠(1018頃)下「風白浪を飜す花千片、鴈清天に点ず字一行〈白居易〉」
③ 旗や幟(のぼり)を立てて風にひらひらさせる。風になびかせる。ひらめかす。
太平記(14C後)五「北の峯より赤旗三流、松の嵐に翻(ヒルガヘ)して」
④ 今までの態度や説を急に変える。今までと逆にする。反対にする。くつがえす。
※今鏡(1170)一〇「やみにまどへる心をひるがへす道なし」
原作をもとにしてその内容を作りかえる。
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉四「其北州の道中を、文明開化西洋風に、飜案(ヒルガヘ)したる当時の新聞

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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