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[耕起具]
新石器時代に石鏟(せきさん)とよぶ扁平な石器がくわないし鋤として用いられた。これとともに用いられたのが耒耜(らいし)で,《易》繫辞伝に〈神農木を斲(き)って耜となし木を揉(たわ)めて耒となす〉とあり,耒は自然木の二またになった部分などをとり土を掘るのにつごうよく加工したもの,耜は棒の先に平板を組み合わせた作溝用の農具と見られていた。もっとも耒は鋤の木柄の部分,耜は刃(さき)の部分という説もあり,楊寛は〈世界的に見て農具には掘起し用と作溝用のものがあるが,華北の耕地である黄土が比較的柔軟なため早くから作溝用の農具が手労農具の主流を占めた〉というが,事実,殷のときから耜系統が中心と思われ,さらに鉄が使用され始めて,耜の優位が著しくなり,耒耜で1個の農具をさすようになったのであろう。…
…本来はともに手労働による耕起,除草,作溝を兼ねた農具であろうが,古代の手労働用の農具の代名詞的に使用される場合も多い。《易》繫辞(けいじ)伝には〈神農木を斲(き)りて耜となし,木を揉(たわ)めて耒となす〉とあり,普通には耒は(二股などの木をまげて)先をするどくした掘り起しに便利な農具,耜は扁平な鋤(すき)先に柄棒を結合させた作溝用の農具の耒耜をそれぞれ別個の農具と解しているが,これには異説もあり,耜は鋤先の部分,耒は木柄の部分であるとして,耒耜で一個の農具とする説もあり,特に耜を金属製の鋤先の部分という説もある。楊寛は〈耒は掘起用の農具,耜は作溝用の農具である。…
※「耒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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