聞落(読み)ききおとす

精選版 日本国語大辞典 「聞落」の意味・読み・例文・類語

きき‐おと・す【聞落】

〘他サ五(四)〙
① 聞くべきことをうっかり聞きもらす。聞くのを忘れる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
草枕(1906)〈夏目漱石〉二「惜しい事に作者の名は聞き落したが」
② (「落とす」はおとしめるの意) 聞いて心の中で相手を悪く思う。聞いてけなす。聞いて軽蔑する。
源氏(1001‐14頃)若菜下「ただなさけなさけしう心深きさまに宣ひわたりしを、あへなくあはつけきやうにやききおとし給ひけむ」

きき‐おち【聞落】

〘名〙
① 聞きおとすこと。聞きおとし。聞きもらし。
② 聞いただけで、恐れをなして逃げること。聞き逃げ。
太平記(14C後)八「此の勢京へ寄せたらんに、六波羅よも一溜(たま)りも溜まらじ。聞(キキ)落にぞせんずらんと思ひ侮(あなど)って」
③ 聞いて見ると思いのほかのことなので、興のさめること。

きき‐おとし【聞落】

〘名〙 話などを聞きもらすこと。ききおち。ききもれ。
半七捕物帳(1923)〈岡本綺堂〉津の国屋「幾らか聞(キ)き落(オト)しもあるかも知れません」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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