改訂新版 世界大百科事典 「胆管拡張」の意味・わかりやすい解説
胆管拡張 (たんかんかくちょう)
cholangiectasis
胆管は,肝臓と胆囊,十二指腸を結ぶ胆汁排出路であり,肝内胆管,総胆管,胆囊管などからなる。その太さは,正常成人では径8mm以下である。しかし,胆道系の完全または不完全な閉塞や,胆囊,ファーター乳頭の機能障害により,胆汁分泌が障害されると,内圧が上昇し,胆管が拡張し,極端な場合には,径20mm以上に及ぶ。この状態を胆管拡張という。したがって,胆道造影によりその拡張をみつけた場合は,胆道,膵臓の病気を診断する重要な所見となり,胆管結石,胆管癌,膵頭部癌,慢性膵炎,ファーター乳頭炎・癌,胆囊機能不全などの病気が疑われる。拡張した胆管や狭窄部の形態により,これらの病気を鑑別する。このほかに,総胆管囊腫とよばれる先天性形態異常による胆管拡張もある。比較的まれなものであるが,日本人では欧米人よりも多く,おもに子どもで発見されるが,ときに成人で発見されることもある。腹痛,胆管結石を発生しやすい。
執筆者:松崎 松平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報