胎児胎盤機能検査(読み)たいじたいばんきのうけんさ

改訂新版 世界大百科事典 「胎児胎盤機能検査」の意味・わかりやすい解説

胎児胎盤機能検査 (たいじたいばんきのうけんさ)

胎児生命力と胎盤の機能を調べるための検査従来は,胎盤機能だけを切り離した検査法が研究されてきたが,これは胎盤が胎児の呼吸代謝など胎児の生命線ともいうべき役割を果たしているからであり,これも最終的には胎児の生活力を知りたいための検査法である。したがってユニットとしての胎児と胎盤の機能を調べる胎児胎盤機能検査法のほうが臨床的には望ましいこととなる。

 胎児胎盤機能検査には血清hPL(ヒト胎盤性プロラクチン)値などいくつかの検査法があるが,現在,臨床医によって最もよく用いられているのは母体の尿中エストロゲン測定する方法である。母体尿中のエストロゲンを測定するのは次のような理論的根拠による。母体の尿中のエストロゲンの量は非妊娠時に比べれば約1000倍にも増量するが,このエストロゲンの前駆物質は,胎児の副腎で作られ,胎児の肝臓および胎盤でエストロゲンに変えられる。これが母体に移行して母体の尿中に排出される。したがって母体尿中のエストロゲンの値は,(1)胎児の生命に必須の副腎からの前駆物質の産生能力,(2)肝腎臓器である胎児の肝臓,ならびに生命線ともいわれる胎盤の代謝機能,(3)胎児の物質交換に必要な胎児・胎盤・母体系の血流動態を反映するわけで,その測定により胎児の生活力の程度を知ることができるのである。この検査は簡便で,常用されている妊娠反応と同様に,3~5分で尿と試薬を反応させることによって検査する方法が日本で開発されている。
妊娠
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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