改訂新版 世界大百科事典 「能勢朝次」の意味・わかりやすい解説
能勢朝次 (のせあさじ)
生没年:1894-1955(明治27-昭和30)
国文学者。能楽研究家。京都府北桑田郡山国村生れ。岩本民三の次男で,のち能勢氏を嗣ぐ。1923年京都大学国文科を卒業,大学院に進み,翌24年大谷大学教授。京都大学講師,東京高等師範,東京文理大,東京教育大学教授等を歴任,54年奈良学芸大学学長に就任。中世・近世文学研究,とくに和歌・連歌,能楽,俳諧の研究に多くの功績を残した。なかでも《能楽源流考》は膨大な史料を駆使して多くの創見を示し,能楽史研究を飛躍させた大著として,1940年日本学士院賞を受賞。ほかに世阿弥の能楽論研究に一時期を画した《世阿弥十六部集評釈》や,《謡曲講義》《幽玄論》《三冊子評釈》など多くの著書があり,《能勢朝次著作集》10巻(1981-85)に収録されている。
執筆者:西野 春雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報