日本大百科全書(ニッポニカ) 「脇水鉄五郎」の意味・わかりやすい解説
脇水鉄五郎
わきみずてつごろう
(1867―1942)
地質学者、土壌学者。岐阜県大垣に生まれ、1893年(明治26)東京帝国大学地質学科卒業。1896年同大学農科大学助教授となり、1917年(大正6)東京帝国大学教授に進む。その間1911年から1915年までヨーロッパおよびアメリカに留学した。オーストリアで森林土壌学、イタリアで砂防学を研究し、地質学のほか、森林土壌学講座も担当した。樺太(からふと)(サハリン)・北海道地区を調査し、気候的植生の土壌に対する影響の大きさを確認し、単なる地質学的土質学的土壌学を脱した新たな表層地質学の世界を開いた。史跡名勝、天然記念物の調査に尽力し、『車窓からの自然界 東海道・山陽編』『日本風景誌』『耶馬渓彦山(やばけいひこさん)風景論』等の著書がある。1939年日本地質学会会長に推された。
[石山 洋]