妊娠のために特異な変化を起こしている子宮の粘膜をいう。その大部分が胎児の出産のすぐあとで外に出され,捨てられることから,この名がある。子宮の粘膜すなわち内膜は,妊娠のとき以外には約4週の周期をもって一定の変化をくり返している。受精卵が初期の分裂をしながら卵管を下って子宮に入り,月経前期の厚くて柔らかい内膜に着床すると,子宮内膜は平時の周期的変化を中止して,もっぱら胎児を育て,これを守ることに全力をつくすものとなる。胎児との位置関係によって脱落膜には基底(または床),被包,壁側の3部が区別される。そのなかで最もたいせつなのが基底脱落膜または床脱落膜で,これが胎盤の母体部をなすのである。脱落膜には脱落膜細胞という豊富な原形質をもった大きな細胞がみられることが,その特色の一つである。これは内膜の結合組織細胞から変わってできたものと思われる。
→胎盤
執筆者:小川 鼎三
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…着床部位は正常の場合は子宮腔内の壁であるが,子宮外のこともあり,この場合は子宮外妊娠となる。 受精卵が着床すると,子宮内膜はさらに肥大増殖して脱落膜deciduaとなる。卵の着床した基底部の脱落膜を基底脱落膜または床脱落膜といい,受精卵の進入口すなわち卵の表面に形成される内膜を被包脱落膜,卵に直接関係のない残りの脱落膜を壁側脱落膜という。…
…着床部位は正常の場合は子宮腔内の壁であるが,子宮外のこともあり,この場合は子宮外妊娠となる。 受精卵が着床すると,子宮内膜はさらに肥大増殖して脱落膜deciduaとなる。卵の着床した基底部の脱落膜を基底脱落膜または床脱落膜といい,受精卵の進入口すなわち卵の表面に形成される内膜を被包脱落膜,卵に直接関係のない残りの脱落膜を壁側脱落膜という。…
※「脱落膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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