解剖学名では腎盤という。尿管の始部にあたり、その内腔(ないくう)は漏斗(ろうと)状に膨らんで腎臓の腎門にはまり込んでいる。腎門は腎臓内側縁中央部で、腎臓への血管、神経、リンパなどが出入する部分である。この腎盂に向かって腎臓の実質部分が円錐(えんすい)状に突出しており、この突出部を腎乳頭とよび、7~10個くらいみられる。腎乳頭の先端には多数の乳頭孔が開口しており、ここから腎臓で生産された尿が排出される。排出された尿はいくつかの乳頭を囲む小腎杯とよぶ腔にためられる。2~3個の小腎杯が集合して大腎杯というやや広い腔となるが、大腎杯は普通は1個の腎臓について2~3個である。大腎杯は腎盂に移行するが、その内面は粘膜移行上皮で覆われる粘膜である。筋層は2層(内縦・外輪層)からなり、平滑筋の多い結合組織に囲まれている。
腎盂や腎杯の形態はきわめて多様性があるほか、個人差も著しい。しかし、腎盂は中に造影剤を入れてX線写真を撮ることができるため、その形態をつかむことができる。したがって、腎盂や腎杯の形態の変化を知ることによって腎臓の働きやその異常を判断することが可能となる。
[嶋井和世]
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…腎実質は,腎門から深くえぐりとられたようにへこみ腎洞を形成する。ここには,腎動静脈および尿管の上端がふくらんでできた腎盂(じんう)(腎盤)と,その間をうめる脂肪組織が存在する。腎盂は2~3個の大腎杯に分かれるが,それはさらに7~14個の小腎杯に分かれており,腎実質から突出している腎乳頭の先端に連結し,腎実質で生成された尿を受ける(図4)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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