膏肓(読み)こうこう

精選版 日本国語大辞典 「膏肓」の意味・読み・例文・類語

こう‐こう カウクヮウ【膏肓】

〘名〙 (「こうもう」は誤読。「膏」は心臓の下の微脂。「肓」は膈(かく)の上の薄膜)
① 心臓と膈膜との間の部分。からだの中の奥深い所でここに病がはいると治らないという。
万葉(8C後)五・沈痾自哀文「割刳五蔵探百病、尋達膏肓之隩処
浄瑠璃・浦島年代記(1722)三「左の肩口膏肓(カウコウ)迄すっぱと切る」
人体経穴(けいけつ)(=つぼ)の名。脊椎の第四椎と第五椎との間で、背中から各三寸五分(約一〇・六センチメートル)のところ。
※中華若木詩抄(1520頃)下「只今も、大事の病に膏肓を灸することあり」

こう‐もう カウマウ【膏肓】

〘名〙 (「こうこう(膏肓)」の誤読が慣用化したもの) =こうこう(膏肓)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「膏肓」の意味・読み・例文・類語

こう‐こう〔カウクワウ〕【××肓】

《「膏」は心臓の下部、「肓」は隔膜上部
からだの奥深いところ。ここに病気が入ると治らないという。
漢方経穴けいけつの一。背中の第4胸椎下から、大人で約6センチの所。
[補説]「こうもう」は誤読。

こう‐もう〔カウマウ〕【××肓】

こうこう(膏肓)」の誤読。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「膏肓」の読み・字形・画数・意味

【膏肓】こうこう(かうくわう)

横隔膜の上と心臓の下。医薬の達しがたいところ。〔左伝、成十年〕(晋侯)む。疾、二豎子(じゆし)と爲りて曰く、彼は良なり。~焉(いづ)くにか之れを(のが)れんと。其の一曰く、肓の上、膏の下に居らば、我を何(いかん)せんと。至る。曰く、疾爲(をさ)むべからざるなり。肓の上、膏の下に在り~と。曰く、良医なりと。

字通「膏」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android