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膝関節の伸筋である大腿四頭筋の腱は脛骨上端部に終わるが,この腱を膝蓋骨の直下で叩打すると,大腿四頭筋が反射性に収縮して膝関節が伸びる。この反射を膝蓋腱反射という。これは,腱をたたいたことにより大腿四頭筋が一時的に引き伸ばされて起こった伸展反射で,大腿四頭筋反射patellar tendon reflexともいう。反射中枢は,ヒトでは第2~4腰髄にある。脊髄癆(ろう),脊髄前角炎,多発性神経炎,脚気等で反射弓のどこかが障害されると,この反射は減弱・消失するため,これら疾患の検査に利用される。一方,脳出血や反射中枢より上位の脊髄疾患等で上位中枢からの抑制性の影響が弱まると,この反射は亢進する。
→反射
執筆者:大野 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
膝蓋腱をたたいたとき、この腱が付着している大腿(だいたい)四頭筋に反射的に収縮がおこることをいう。腱をたたくことによって、それにつながる筋肉が伸びると、その筋肉の中の筋紡錘(伸展受容器)が興奮して収縮という現象がおこる。膝蓋腱反射は脊髄(せきずい)反射の一種で、ただ1個のシナプスだけが関与する単シナプス性の伸張反射であり、反射の中枢は脊髄の第2腰髄と第4腰髄の間にある。臨床的には、ビタミンB1の欠乏や神経系の疾患の診断に利用される。患者があおむけに寝ているときは膝関節を約120度曲げさせ(椅子(いす)に腰掛けているときは膝(ひざ)を重ねさせる)、大腿四頭筋の腱を膝蓋の下でたたくと、四頭筋が収縮して下肢が前に飛び出す。脚気(かっけ)のほか、脊髄の後索や末梢(まっしょう)神経に病変があるとこの飛び出しは減弱する。また脳に傷害があると、亢進(こうしん)するが、これは、膝蓋腱反射の中枢が脊髄より上位にある脳によって抑制されているためで、脳に傷害があると、この抑制は除かれることになる。
[鳥居鎮夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(a)伸張反射 これは筋肉とくに伸筋が一過性にまたは持続的に引き伸ばされると反射的に収縮が生ずるもので,筋肉の長さを自動的に制御し,とくに背筋や下肢伸筋の抗重力筋群によく発達していて,直立姿勢の保持に役だつと考えられる。この反射に属するものとして,膝蓋腱反射(しつがいけんはんしや)やアキレス腱反射などの腱反射がある。この場合,伸張反射を起こす刺激として,腱をたたき筋肉を伸張する方法が用いられる。…
…停止腱のうち,膝蓋骨の下端から脛骨粗面までの部分をとくに膝蓋靱帯(または膝蓋腱)という。この部を体表からたたくと,反射によって大腿四頭筋が収縮して,膝関節が伸展する(膝蓋腱反射)。大腿四頭筋は,体表からその輪郭をよく観察できるが,ことにひざを強く伸展したとき,膝蓋骨の直上部で,内側広筋と外側広筋の下端の膨らみをよく観察できる。…
…臨床的には筋肉を伸展させる際に腱をたたくので腱反射ともいわれる。伸展反射は,膝蓋腱反射やアキレス腱反射(アキレス腱をたたくと,腓腹筋やひらめ筋に収縮が起こる反射)のように,正常動物でもみられるが,上位中枢からの影響を受けていて一般に起こりにくい。上位中枢が障害され,抑制性の影響が弱まると,伸展反射は亢進し,持続的に,また反復して起こる。…
…次いで前根繊維から筋肉に行き,筋肉が収縮して反射的に運動が起こる。よく知られているものに膝蓋腱反射がある。これは,ひざの関節を伸ばす筋肉(大腿四頭筋)の腱をハンマーでたたくと下腿が伸びる反射である。…
※「膝蓋腱反射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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