臥待の月(読み)ふしまちのつき

精選版 日本国語大辞典 「臥待の月」の意味・読み・例文・類語

ふしまち【臥待】 の 月(つき)

(月の出が遅いので臥して待つ意)
① 陰暦一九日の夜の月の称。臥待。寝待の月。ふしまちづき。
※木工権頭為忠百首(1136頃)月「寝待月 あづまぢのすずのあみどをおしあけて独すすくもふし待の月〈藤原為忠〉」
② 広く陰暦二〇日以後の月の称。
源氏(1001‐14頃)若菜下「ふしまちの月はつかにさし出でたる、心もとなしや」
③ 特に、陰暦八月一九日の夜の月をいう。《季・秋》 〔俳諧・増山の井(1663)〕
[語誌](1)院政期以前には、一九日の月を指す確例が見つからないが、同義語とされる「寝待の月」は、「宇津保‐春日詣」に「二月二十日」のこととして「昨日こそねまちもせしか春のよのこよひの月をいかがみるらん」という歌が含まれているところから、一九日という特定の日の月を指していたと考えられる。また、歌学書にも「能因歌枕」に「十九日 ねまち」などとある。
(2)①の挙例「木工権頭為忠百首」で「寝待月」の題で二首「ふしまちの月」が詠み込まれていることなどにより、院政期頃から、「寝待の月」と「臥待の月」が同義語であるとの認識が生じ始めていたと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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