自力救済(じりょくきゅうさい)(読み)じりょくきゅうさい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

自力救済(じりょくきゅうさい)
じりょくきゅうさい

自分の力で権利の内容を実現すること。近代国家においては、権利の内容を実現するためには、法に定められた手続により国家権力(とくに裁判所)の手助けを得なければならず、自らの手で行うことは原則として許されない。違法な自力救済は民法上は不法行為となり、刑法上は自救行為というが、犯罪を構成する。しかし、法に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難であると認められる、緊急やむをえない特別の事情がある場合には、必要な範囲内での自力救済が例外的に許され、この場合には不法行為とならない。たとえば自分の自転車が盗まれるのを目撃した者が、自ら取り戻すなどの行為である。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android