自動車(原動機付自転車を含む)の運転において、必要な注意を怠ったために人を死傷させる罪。自動車運転死傷行為処罰法第5条により、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処せられることが定められている。2007年(平成19)の刑法改正によって設けられ(それまでは業務上過失致死傷罪の対象)、自動車運転死傷行為処罰法の制定(2014年施行)に際して、刑法から同法に移された。過失犯であるから、予見可能性と回避可能性があることが求められるが、交通事故の場合、運転者にまったく過失がなかったとされることは非常に少なく、大半の場合に本罪が成立する。本条の但書において、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができると定められており、2018年には本罪の86%が起訴猶予とされている。
一方、人を死傷させる事故を起こした運転者は、刑事訴追の有無にかかわらず、道路交通法に基づく運転免許上の処分を受ける。違反の点数(個別の法令違反がない場合には安全運転義務違反で2点)と、死傷の程度による加算点(被害者の死亡時13点、治療期間が3月以上9点、もっとも軽い15日未満の場合2点)の合計で、15点以上の場合には取消し、6点以上の場合は停止となる。
[田村正博 2021年1月21日]
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