世界大百科事典(旧版)内の自家融解の言及
【死体現象】より
…死体硬直は死後2時間前後で下顎に現れ,体幹から上肢,下肢へと発現し,半日で完成する。死後2~4日持続し,発現した順に腐敗や自家融解によって解ける。死体硬直の完成前に関節を動かして死体硬直を解いた場合は,再び死体硬直が現れるが,死体硬直の完成後に解くと,再び現れることはない。…
【死蠟】より
…死蠟の構成成分は,通常70~90%が脂肪酸(20~30%程度のこともある),残りは結合組織性の灰分で,完成度や身体部位によりその割合が異なるという。死蠟の成因については,特異な細菌環境のなかで,自家融解(自己消化)や腐敗による通常の死体分解が途中で方向をかえ,脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されたのち,常温で液体の低級脂肪酸とグリセリンは流失し,常温で固形の飽和高級脂肪酸や,常温で液状である不飽和高級脂肪酸は飽和され固形化して残り,ケン化されてカルシウムやマグネシウムとの塩(金属セッケン)を形成したり,水酸基を有する脂肪酸に変化して,安定な死蠟が形成される。筋肉などのタンパク質も細菌の酵素作用により脂肪酸となり,同じような経過で死蠟化すると考えられている。…
【ミイラ(木乃伊)】より
… 永久死体の一つである死蠟(しろう)が,湿潤した場所で空気が遮断された環境でできるのに対し,ミイラは乾燥によってできる。すなわち,死亡した後,死体現象のうちの自家融解や腐敗による崩壊が進行する前に,急速な乾燥が起こるとミイラができる。死体の水分が50%以下になると細菌の増殖が著しく阻止され,腐敗の進行が停止するといわれ,高温で乾燥した場所や風通しのよい場所,吸湿性のよい砂や土の上に置かれた死体ではミイラになりやすい。…
※「自家融解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」