自己組織性(読み)じこそしきせい(英語表記)self-organization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自己組織性」の意味・わかりやすい解説

自己組織性
じこそしきせい
self-organization

あるシステムがみずからを組織化するように変化していく特性を示す語。ヨーロッパの伝統的思想根底には,永遠性の観念が存在したが,19世紀の熱力学では秩序混沌へと解体し,進化論では生物同士の対立,闘争が進化をもたらしたとする新しい論理が出現した。 1970年代になると I.プリゴジンはゆらぎをはらんだ非平衡系で混沌から秩序が形成され,同時に多数の構成要素がコミュニケートし合うことがあるという散逸構造理論を発表し,ハーケンも協同現象理論で,対立ではなく協同的活動によって構造の形成・発展が可能であることを明らかにした。この論理は,伝統的思想が循環論法,矛盾,パラドックスを否定したのに対し,認識的世界,生命的世界において,パラドクシカルな自己言及を忌避する合理主義が誤りであることを明らかにした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android