自己誘導(読み)ジコユウドウ

デジタル大辞泉 「自己誘導」の意味・読み・例文・類語

じこ‐ゆうどう〔‐イウダウ〕【自己誘導】

電気回路で、電流の大きさや方向変化するとき、回路内に電磁誘導が生じ、電流の変化を妨げるように働く現象自己感応

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精選版 日本国語大辞典 「自己誘導」の意味・読み・例文・類語

じこ‐ゆうどう‥イウダウ【自己誘導】

  1. 〘 名詞 〙 電気回路で、電流が大きさや向きを変えることにより回路自身に起こる電磁誘導。誘導起電力は電流の変化を妨げる方向に生じる。自己感応。⇔相互誘導。〔電気訳語集(1893)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自己誘導」の意味・わかりやすい解説

自己誘導
じこゆうどう

電磁誘導のうちで、自分自身がつくる磁界磁場)が変化したときにおこる電磁誘導をいう。自己感応ともいう。コイルに電流を流したときに生ずる磁界を示す。磁界の強さは電流に比例するが、磁力線の形は電流が変化しても変わらない。さて、電流が変化すると、このコイルを貫く磁束が変化する。電磁誘導の法則により、このコイルに誘導起電力が発生する。誘導起電力の大きさは、電流の時間変化の割合に比例する。この比例係数を自己誘導係数または自己インダクタンスという。自己感応係数ということもある。電流が毎秒1アンペア変化するとき、1ボルトの誘導起電力を発生するような自己誘導係数を1ヘンリーという。コイルに発生する誘導起電圧の向きは、コイルを流れる電流の変化を妨げる向きである。コイルの自己誘導係数は、コイルの幾何学的な形だけで決まる。形が同じならば、自己誘導係数はコイルの巻き数の2乗に比例する。コイルの中を鉄、フェライトなど強磁性材料で満たせば、自己誘導係数は透磁率倍となる。

 コイルには、直流電流はそのまま通すが交流電流は通しにくい働きがある。直流回路のオームの法則の抵抗に相当するものは、コイルの自己誘導係数と交流周波数の積である。しかし、抵抗と違って熱を発生しない。コイルは交流回路、電子回路において、抵抗、コンデンサーとともに重要な部品である。

[山口重雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自己誘導」の意味・わかりやすい解説

自己誘導
じこゆうどう
self-induction

閉ループ回路の電流が時間的に変化すると,電流の変化を妨げる向きに回路に逆起電力が生じる現象。アンペールの法則から磁場は電流 I に比例し,回路磁束鎖交数λは,λ =LI ( L比例定数自己インダクタンスという) となるが,電流が変化すると磁束が変化するので,ファラデー電磁誘導の法則から E=-LdI/dt起電力が回路に発生する。これはコイルの場合に著しく,この種の素子と起電力を含む回路をスイッチにより遮断すると,スイッチの接点間に逆起電力によって大きな電圧が生じ,火花を発生して接点の焼損や雑音を生じる場合がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「自己誘導」の意味・わかりやすい解説

自己誘導 (じこゆうどう)

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世界大百科事典(旧版)内の自己誘導の言及

【電磁誘導】より

…閉じた回路の近くで永久磁石を動かすか,あるいは電流が流れている他の回路を動かしたり,その電流を切ったりしたときこの現象が観測されるほか,また閉じた回路に流れている電流が変化した場合にも,この回路を貫く磁束が変化するため回路に誘導起電力を生ずる。これを自己誘導といい,これに対して,二つの電流回路を流れる電流の一方が変化することによって,他方の回路に誘導起電力が生ずる場合を相互誘導という。これらの現象でたいせつなことは,電気的量,または磁気的量が時間的に変化していることである。…

※「自己誘導」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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