土壌などに侵入・溶出した有害な物質や放射性物質などが、移動や時間の経過とともにその濃度を低減させる現象。これにかかわるおもな事象としては、土壌粒子への吸着、気相への揮発、希釈と拡散、化学分解、微生物分解などが考えられる。土壌や地下水などを汚染した物質は、化学的・物理的な措置により一定の濃度まで一気に引き下げられるが、ある程度以下になるとその効果は出にくくなる。通常、有害物質の除去や封じ込めのための経済的な負担は莫大(ばくだい)であるため、人の健康に有害物質の影響が及び得る一定の範囲を、科学的に評価・確認したうえで、浄化措置の一部を自然減衰に委(ゆだ)ねることが必要になる。このような措置を、科学的自然減衰monitored natural attenuation(MNA)という。MNAでは、有害物質や汚染の状態、地形などにより、十分に減衰されるまでの時間や範囲は大きく異なる。そのため、詳細なシミュレーション解析結果に基づいて行う必要がある。また、有害な副生成物の影響も考慮し、人の一生やそれ以上に相当するような長期間のモニタリングが必要である。このようなシミュレーションやモニタリングによって得られる、特定の有害物質の濃度が自然減衰によって低減する割合を、自然減衰率という。
2011年(平成23)3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故の影響について、事故直後の2011年と2014年に航空機モニタリングで測定した空間線量を比較すると、約3年でおよそ47%の減少がみられた。このうちの約34%は自然減衰によるもので、その大部分は半減期が約2年とされるセシウム134の大幅減少と推定される。いまだに高線量地帯でみられるセシウム137の半減期は約30年であり、今後も継続的なモニタリングを行い、空間線量の変化やその要因を調査することが求められる。
[編集部]
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